第51章 鋭い爪
私とドラコは、マダム・ポンフリーに治療をされた。ドラコは痛むと言って腕を包帯でグルグルにされている。私は大丈夫と言ったのだが、マダム・ポンフリーに私より軽症のドラコが痛むと言っているのだから我慢はいけません、とドラコと同じようにされた。そのため、私とドラコは二人して腕を包帯でぐるぐる巻きにされている。
『ハグリッド、元気だして。そんなに痛くないわよ。すぐに治るわ』
「あぁ...」
ハグリッドは心ここにあらずだ。マダム・ポンフリーに入院と言われたため、私達はここに泊まることになった。
「ユウミ、入院だなんて!大丈夫なの?」
『大丈夫よ、クレア。3人とも来てくれてありがとう』
ドラコと話そうかと思ったのだが、すぐにスリザリンのパンジー・パーキンソンが来てドラコの側に行ったため諦めた。そしてその後に、クレアとミア,エイミーが来てくれた。
「でもユウミ、とっても痛そうよ?」
ミアがあちらでどんなに痛いかを言っているドラコをチラッと見てからそう言う。
『あー...そうね』
困った顔の私を見て何かを察してくれたのか、そのあとは授業のことなどを話した。
「Ms.マーレイ、夕食です。食べられますか?」
『えっと、なんとか頑張ってみます』
利き手を怪我してしまった私を見て問いかけたマダム・ポンフリーに頷いて夕食をもらう。いつもより時間がかかったがなんとか食べられた。そして、夜寝る前にやっとドラコと話をすることが出来た。
『ドラコ』
「...なんだ」
少し間があいてから答えたドラコ。
『怪我は大丈夫?』
「...あぁ。...ユウミは?」
『大丈夫よ』
ドラコはほっと息をつく。心配してくれたみたいだ。
「すまなかった。僕を庇って怪我を...」
落ち込んでいる様子のドラコに、言おうと思っていたことは言えずに、ただ気にしないでというだけだった。ドラコとの会話を切り上げてベッドに入り、ため息をついてしまったのは仕方ないだろう。
本当は先程の授業のことでドラコに注意しようと思っていた。でもドラコが落ち込んでいたため言いづらかった。それに、これで良かったのかもしれない。今年は、手を出さずにいようと思っていたのだから。幼なじみであるドラコに怪我してほしくなかったから今回は手を出してしまったが。