第51章 鋭い爪
『撫でてほしいの?』
おそるおそる嘴を撫でる。すると、気持ちよさそうに目を細めた。
「すごいわ、ユウミ!まだお辞儀もしてないのに!」
「なついているね〜」
クレアとエイミーが順番にそう言う。そこで私はハッとした。急いでドラコの方を見る。あんまり距離は離れていない。最後にヒッポグリフの嘴を優しく撫でてから、ドラコに近寄る。ある程度近づいたところで、ドラコの声が聞こえてきた。
「簡単じゃないか。ポッターに出来るんだ、簡単に違いないと思ったよ。...おまえ、全然危険なんかじゃないなあ?そうだろう?醜い大きな野獣のくせに?」
『ドラコ!!』
ドラコを庇うようにバックビークとドラコの間に入った私は、片方の腕に鋭い痛みをおぼえる。しかし、ぐっと我慢してバックビークに向き合う。ハグリッドがバックビークに首輸を付けようと格闘しているが、バックビークは、ドラコを襲おうとしてもがいている。
『ごめんなさい。酷いことを言ったわ。あなたはとっても綺麗よ。本当にごめんなさい...』
バックビークは私がそういうと、少し落ち着いてくれたのか暴れるのをやめた。
「死んじゃう!僕、死んじゃう。見てよ!あいつ、僕を殺そうとした!」
「何を言ってるの!ユウミの方がよっぽど重症よ!」
ドラコが喚いたためみんながパニックに陥る中、ハーマイオニーがそう言った。ドラコを見ると、どうやら少し当たってしまったみたいで血が出ている。
「誰か、手伝ってくれ...。この子達をこっから連れ出さにゃ...」
『ハグリッド、私は大丈夫よ。ドラコを運んであげて』
二人は持てないだろうとそう言う。
「何を言っておる!」
ハグリッドは私とドラコを同時に軽々と抱き上げる。それに驚きながらもすごいなと思っていると、ハーマイオニーが走って行ってゲートを開けた。ハグリッドは私達をしっかり掴むと、城に向かって坂を駆け上がっていく。
「まぁ、何事です!」
医務室のドアを蹴破るような勢いであけたハグリッドに、マダム・ポンフリーが驚いてこちらにきた。
『マダム・ポンフリー、授業中に怪我をしてしまって...』
「わかりました、こちらにいらっしゃい!」
ハグリッドがまごまごしているのを見て、私が言うとすぐにマダム・ポンフリーがそう言った。ドラコと一緒にそちらに向かう。