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愛される少女【HP】

第51章 鋭い爪


ハグリッドが生徒の所へやって来て、ヒッポグリフを柵に繋いだときには、みんなが後ずさった。

「'ヒッポグリフ'だ!美しかろう、え?」

みんなに手を振りながら、ハグリッドが嬉しそうに大声を出す。半鳥半馬の生き物を見た最初のショックを乗り越えさえすれば、ヒッポグリフの輝くような毛並みが羽から毛へと滑らかに変わっていくさまは、見ごたえがあった。

それぞれ一頭ずつが違う色をしている。嵐の空のような灰色、赤銅色、赤ゴマの入った褐色、つやつやした栗毛、漆黒などに彩られていた。

「そんじゃ。もうちっと、こっちへ来いや...」

ハグリッドは両手を揉みながら、みんなに嬉しそうに笑い掛ける。しかし、誰も行きたがらない。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、こわごわ柵に近付いて行った。私も3人が近づいているのを横目に柵に近づく。それを見たからか、クレアとエイミーも私の隣に立つ。

「まず、イッチ番先に'ヒッポグリフ'について知らなければならねえことは、こいつらは誇り高い。すぐ怒るぞ、'ヒッポグリフ'は。絶対、侮辱してはなんねえ。そんなことをしてみろ、それがお前さんたちの最後の行動になるかもしんねえぞ」

ドラコをチラッと見ると、クラッブとゴイルとヒソヒソ話していて聞いていない。私は小さくため息をついた。それをクレアとエイミーが不思議そうにしている。

「必ず、'ヒッポグリフ'のほうが先に動くのを待つんだぞ。それが礼儀ってもんだろう、な?こいつの傍まで歩いて行く。そんでもってお辞儀する。そんで、待つんだ。こいつがお辞儀を返したら、触ってもいいっちゅうこった。もし、お辞儀を返さなかったら、素早く離れろ。こいつの鉤爪は痛いからな。よーし......誰が、一番乗りだ?」

答える代わりにほとんどの生徒がますます後ずさった。'ヒッポグリフ'は、猛々しい首を振り立て、たくましい羽根をばたつかせている。繋がれていることが気に入らない様子だ。

「誰もおらんのか?」

ハグリッドが、訴えるような目をした。

「僕、やるよ」

「あああー、駄目よ、ハリー。お茶の葉を忘れたの!」

ハリーが名乗り出たが、そのすぐ後ろであっと息を呑む音がして、ラベンダーとパーバティが囁く。ハリーは二人を無視して、放牧場の柵を乗り越える。

「偉いぞ、ハリー!よーし、そんじゃ...バックビークとやってみよう」

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