第51章 鋭い爪
私は、'魔法生物飼育学'の最初の授業を受けるためにクレアとエイミーと城の外に出る。ミアは取っていないため、大広間で別れた。昨日の雨は上がってて、空は澄み切った薄い灰色だ。私達は、禁じられた森の端にあるハグリッドの小屋を目指して、芝生を下って行く。
「あら、スリザリンと合同なのね」
先程からちらほらといる緑と銀のネクタイの生徒を見たクレアがそう言った。
「何かありそうだね〜」
正解よエイミーと心の中で思う。ハグリッドが、小屋の外で生徒を待っていた。厚手木綿のオーバーを着込み、足元にボアハウンド犬のファングを従え、早く始めたくてうずうずしている様子だ。
「さあ、急げ。早く来いや!今日は、みんなにいいもんがあるぞ!すごい授業だぞ!みんな来たか?よーし。ついて来いや!」
生徒が近付くとハグリッドが声を掛ける。ハグリッドは、'森'の縁に沿ってどんどん歩いて行って、5分後にみんなを放牧場のようなところへと連れてきた。そこには何もいない。
「みんな、ここの柵のまわりに集まれ!」
ハグリッドの号令に従う。
「そーだ...ちゃんと見えるようにしろよ。さーて、イッチ番最初にやることは、教科書を開くこった...」
「どうやって?」
ドラコが冷たく気取った声で、ハグリッドに問いかける。
「え?」
「どうやって、教科書を開けばいいんです?」
ハグリッドが聞き返すと、ドラコが繰り返した。ドラコの取り出した'怪物的な怪物の本'は紐でぐるぐる巻きに縛られている。他の生徒も本を取り出した。ベルトで縛っている生徒もいれば、きっちりした袋に押し込んだり、大きなクリップで挟んでいる生徒もいたりそれぞれだ。
「だ、誰も教科書をまだ開けてないのか?」
ハグリッドはがっかりしたようだった。しかし、ハグリッドと目が合った途端ハグリッドの表情が輝く。
「ユウミ、開けられたのか?」
生徒みんながいっせいにこちらを見た。
『えーと、そうね、開けました。撫でればいいんですよね?』
こんなにも注目を浴びたことはなかったので、戸惑いながらも答えてからハグリッドに確認をする。
「そうだ。おまえさん達、撫でれば良かったんだ。見るんだ」
ハグリッドはあたりまえのことなのに、とでも言いたげだ。ハグリッドはハーマイオニーの教科書を取り上げ、本を縛り付けていたスペロテープを剥がす。