第49章 ディメンター
前世の記憶で事情を知っている私は、何とも言えず複雑な表情を浮かべる。ルーピン先生への大したことのない拍手が止むと、アルバスはまた話し始めた。
「もう一人の新任の先生は、ケトルバーン先生は、'魔法生物飼育学'の先生じゃったが、残念ながら前年度末をもって退職なさることになった。手足が一本でも残っているうちに余生を楽しまれたいとのことじゃ。そこで後任じゃが、嬉しいことにほかならぬルビウス・ハグリッドが、現職の'領地の番人'役に加えて教鞭を取ってくださることになった」
今度は先程より大きな拍手が沸き起こる。特にグリフィンドールからの拍手は割れんばかりだ。
「さて、これで大切な話はみんな終わった。さあ、祝宴じゃ!」
アルバスのその言葉と共に、目の前の金の皿、金の杯に突然食べ物と飲み物が現れた。素晴らしいご馳走だ。大広間には話し声、笑い声、ナイフやフォークの触れ合う音が賑やかに響き渡った。
いよいよ最後に、かぼちゃタルトが金の皿から溶けるように無くなり、アルバスがみんな寝る時間だと宣言する。ハリー達がハグリッドに駆け寄るのを横目に、私はクレア達と寮に向かう。
「それでなんだったの?」
ずっと聞く機会を伺っていたのか、クレアが私に問いかける。
『今年度の時間割りについてだったわ。3人は何を取ったんだったかしら?』
「私は、古代ルーン文字と魔法生物飼育学と数占いよ」
私の問いに真っ先に答えてくれたのはクレアだ。
「私は、古代ルーン文字と数占いとマグル学を選んだわ。エイミーは?」
「私は〜占い学と魔法生物飼育学だよ〜、ユウミはなんだっけ〜?」
『私は、占い学と魔法生物飼育学とマグル学と古代ルーン文字にしたわ』
みんなの答えを聞いて、クレアが言った。
「あら、みんなバラバラね」
『本当ね』
私もクレアに同意して頷く。そんな話をしているうちに寮についたため、私達は部屋に行く。みんな眠さのピークだったのか、そこからはポツリポツリと話しただけで、すぐに寝る支度をしてベッドにもぐりこんだのだった。