第49章 ディメンター
「おめでとう!新学年おめでとう!まずみんなにいくつか知らせておかなければならないことがあるのじゃ。一つは、とても深刻な問題じゃから、みんながご馳走で気が抜ける前に片付けてしまうほうが良いじゃろう...」
アルバスは、咳払いしてから言葉を続ける。
「ホグワーツ特急での捜査があったから、みんなも知っての通り、我が校はただいまアズカバンのディメンターたちを受け入れておる。魔法省の用向きでここに来ておるのじゃ」
アルバスは、言葉を切った。ここで私は思い出す。ディメンターが学校を警備することを、アルバスは快く思っていないのよねと。
「ディメンターたちは、学校への入口という入口を固めておる。あの者たちがここにいるかぎり、はっきり言うておくが、誰も許可なしで学校を離れてはならんぞ。ディメンターは、いたずらや変装に引っ掛かるような者たちではない...透明マントでさえ無駄じゃ」
アルバスのさらりと付け加えた言葉に私がハリー達の方を見ると、ハリーとロンはチラリと目を見交わしていた。
「言い訳やお願いを聞いて貰おうとしても、ディメンターには通じない。それじゃから、ひとりひとりに注意しておく。あの者たちがみんなに危害を加えるような口実を与えるではないぞ。監督生よ、男子女子それぞれの新任の首席よ、頼みましたぞ。誰一人としてディメンターといざこざを起こすことのないよう気を付けるのじゃぞ」
ハリーから数席離れて座っていたパーシーが、胸を張り、もったいぶって周囲を見回す。アルバスはまた言葉を切り、深刻そのものの顔つきで大広間を見渡した。誰一人身動きもせず、声を出す者もいない。
「楽しい話に移ろうかの。今学期から嬉しいことに、新任の先生を2人、お迎えすることになった。まず、ルーピン先生。ありがたいことに、空席になっている闇の魔法に対する防衛術の担当をお引き受けくださった」
パラパラと、あまり気のない拍手が起こった。ルーピン先生と、同じコンパートメントに居合わせただろう生徒だけが、大きな拍手をしている。ルーピン先生は、最高級のローブを着込んでいる先生方のあいだで、一層みすぼらしく見えた。
「ねぇ見て、スネイプ先生」
小声で言ったミアの言葉にセブルスを見る。教職員テーブルのむこう側からルーピン先生のほうを睨んでいた。セブルスの表情は、怒りを通り越して憎しみがこめられている。