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愛される少女【HP】

第49章 ディメンター


ハーマイオニーが男の人の頭の上にある荷物棚を指差す。くたびれた小振りのカバンは、きちんと繋ぎ合わせた紐でぐるぐる巻きになっていた。カバンの片隅に、'R・J・ルーピン教授'と、薄れかけた文字のスタンプが押されている。

「いったい、何を教えるんだろ?」

ルーピン先生の青白い横顔を見て顔をしかめたロン。

「決まってるじゃない。空いているのは、一つしかないでしょ?'闇の魔法に対する防衛術'よ」

ハーマイオニーが小声で言った。私達1年生は、2人の先生から授業を受けていたが、その2人とも1年しかもっていない。その学科は、呪われているという噂が広まっていた。

「まあ、この人がちゃんと教えられるならいいけどね。強力な呪いをかけられたら、一発で参ってしまうように見えないか?ところで...さっきは、何の話だったんだい?」

曖昧な口調で言ったロンは、ハリーの方に向いて問いかける。ハリーは、ウィーズリー夫妻の言い合いのことや、今しがたアーサーさんが警告したことを全部私達に向かって話した。その話を聞き終えて、ロンは愕然として、ハーマイオニーは両手で口を押さえている。

「シリウス・ブラックが脱獄したのは、あなたを狙うためですって?ああ、ハリー...ほんとに、本当に気をつけなきゃ。自分からわざわざトラブルに飛び込んで行ったりしないでね。ね、ハリー...」

やがて、ハーマイオニーが手を離して言った。

「僕、自分から飛び込んで行ったりするもんか。いつも、トラブルのほうが飛び込んで来るんだ」

焦れったそうなハリー。私は、ハリーの言葉に不謹慎ながら吹き出してしまいそうになるが、なんとか耐えることが出来た。

「ハリーを殺そうとしてる狂人だぜ。自分からのこのこ会いに行くバカがいるかい?」

ロンは、震えている。でも私からすると、シリウスがいい人なのは知っているので怖さは全くない。

「ブラックが、どうやってアズカバンから逃げたのか、誰にもわからない。これまで脱獄した者は誰もいない。しかもブラックは一番厳しい監視を受けていたんだ」

落ち着かない様子のロン。

「だけど、また捕まるでしょう?だって、マグルまで総動員してブラックを追跡してるじゃない...」

ハーマイオニーが力を込めて言った。

「何の音だろう?」

『なにかしら?』

突然ロンが言ったのに、私も続く。

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