第49章 ディメンター
もう3年目になると慣れたもので、いつものようにお父さまとお母さまとキングスクロス駅につき、ホグワーツ特急に乗り込みコンパートメントに荷物をおいた。
「ユウミ」
『はい、お父さま』
汽車に乗り込む前、お父さまに真剣な声で名前を呼ばれたため、そちらを向く。
「1年2年と、危険な目にあったね。今回ももちろん危険な目には合ってほしくない。でもユウミが友達を見捨てない優しい子だってこともわかった。だから今回は、無事に戻ってくることを約束してくれ」
「そうね。無事に帰って来て私達とハグをしましょう。でも体にはちゃんと気を付けるのよ」
私は、お父さまとお母さまの優しさが身にしみた。一人娘の私のことをこの二人が心配しないわけがない。でも自分達の気持ちより、私の気持ちを優先してくれたのだ。
『約束するわ、お父さま,お母さま』
二人とハグをして私は汽車に乗りこみ、コンパートメントについたのと同じくらいにホグワーツ特急は出発した。列車が出発してしばらくしても、クレアもミアもエイミーも誰一人して来なかったため私は外に出る。
「あら、ユウミじゃない!」
『ハーマイオニー?それにハリーとロンも!久しぶりね!』
クレア達を探して後ろに向かって歩いていた私は、振り向いてそう声をあげた。
「僕達、話をしようと思って。ユウミにも聞いてほしいから一緒に来てほしいんだ」
『えぇ、行くわ』
ハリーから誘われた私は、すぐに頷いて3人についていく。どこもいっぱいだったが、最後尾にただ一つ空いたところがあった。乗客が一人いるだけだ。
男の人が一人、窓側の席でぐっすり眠っている。ホグワーツ特急は、いつも生徒のために貸切りになるため、食べ物をワゴンで売りに来る魔女以外は、車中で大人の人を見たことはなかった。
その見知らぬ乗客は、あちこち継ぎのあたった、かなりみすぼらしいローブを纏っている。疲れはてて病んでいるようにも見えた。まだかなり若いようだが、明かるい茶色の髪の毛は白髪混じりだ。
「この人、誰だと思う?」
ロンが、窓から一番遠い席を取り扉を閉め、4人が腰を落ち着けたとき、声をひそめて言った。
「ルーピン先生」
すぐに答えたのは、ハーマイオニー。
「どうして、知ってるんだ?」
「カバンに書いてあるわ」