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愛される少女【HP】

第48章 再会


「大丈夫、ユウミ?」

『大丈夫よ、お母さま』

午後になり、フルーパウダーを使って漏れ鍋に着いた私に、お母さまが体調の確認をした。

「ユウミは、マダム・マルキンのところに行ってくれるかしら?私は薬問屋に行くわ。そのあとは、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店で待ち合わせしましょう」

『わかったわ』

お母さまに微笑み了承して、私はマダム・マルキンの洋装店へ行って小さくなってしまったものを新しいものに買い揃えた。フローリッシュ書店へと来た私は、壁によりかかりお母さまを待つ。ほどなくして来たお母さまと書店のショーウィンドーを覗いて驚いた。

『...あら?』

いつもなら飾ってあるはずの、歩道用の敷石ほど大きい金箔押しの呪文集が消え、ショーウィンドーには、大きな鉄の檻が置かれていたのだ。その中に、約100冊ほどの本が入っている。

それを見た私は、怪物的な怪物の本だと思った。凄まじいレスリングの試合のように本同士が取っ組み合い、ロックを掛け合い、戦闘的にかぶり付くというありさまで、本のぺージが千切れ、そこいら中に飛び散っていた。

「何に必要な本なのかしらね?」

お母さまはそう言ったが、まさか私が選択した'魔法生物飼育学'の必修本だとは言えず、苦笑いする。とりあえず、中に入った私達のところへ店長が急いで近寄ってきた。

「ホグワーツかね?新しい教科書を?」

店長が出し抜けに言う。私が言った新しい教科書の中に、怪物的な怪物の本が入ってるのを聞いて店長は嫌そうな顔をした。しかし、すぐに分厚い手袋を嵌め、太いごつごつした歩行用の杖を取り上げ、店長は怪物本の檻の入ロヘと進み出る。

「今朝はもう5回も噛み付かれてしまって、二度と仕入れるものかと思ったところなんだよ」

そう言った店長さんを可哀想に思った私は、しようとは思っていなかった助言をすることにした。

『その本の背表紙を撫でてあげてください』

店長さんは私の言葉に怪訝な顔をしたが、必死に取った本の背表紙を撫でる。すると、大人しくなった。

「なんと!あぁ、お嬢さんありがとう!」

私の手を握り、大袈裟と思えるほどに店長さんにお礼を述べられる。そのあと、他の教科書も揃えられた私とお母さまは外に出る。しっかりと、ホグワーツへと行く準備をした私とお母さまは寄り道することなく、家へと帰って来た。

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