第48章 再会
『お父さま、電話って知ってる?』
夏休みが始まってそろそろ2週間が経った頃。私はお父さまに問いかけた。
「電話?マグルの連絡手段のひとつだね。知っているよ、それがどうかしたのかい?」
『あら、知っているの?ハリーから電話番号を聞いたの。電話をかけてほしいって』
お父さまが知っていたことに驚きながらそう言う。
「それなら、私が連れていってあげよう。電話の使い方も教えるよ」
前世の記憶があるため電話の使い方は知っているのだが、魔法の世界で育った私が知っているのはおかしいとわかっていたためお父さまに聞いたのだ。そんなわけで私は今、公衆電話の前にいる。
「使い方はわかったかい?」
私に電話の使い方をレクチャーしてくれたお父さまがそう言った。ここは人通りがないところだ。
『えぇ、ありがとう。少し長くなるかもしれないわ』
「私は、あそこの喫茶店にいるよ。終わったら来てくれるかい?」
お父さまの指した喫茶店を確認して頷く。
「もしもし、バーノン・ダーズリーだが」
少し緊張しながら、電話をかけた私の耳にそう聞こえてきた。
『突然のお電話失礼いたします。私、ユウミ・マーレイと申します。今、お時間よろしいですか?』
「はい」
少し戸惑ったようだが、ちゃんとした返事がくる。
『ハリー・ポッターさんはいらっしゃいますか?実は最近、ハリー・ポッターさんに助けてもらい、もう一度お礼を述べたいと言ったところこの電話番号を教えて頂いたんです。改めてお礼を述べたいのですが、ご在宅でしょうか?』
「あ、あぁ、今代わる」
上手くいったみたいでホッとしながら、ハリーが出てくるのを待つ。
「お電話代わりました、ハリーです」
だいぶ戸惑ったような声が聞こえてきた。
『ハリー?ユウミよ。ホグワーツの!』
「本当にかい?」
驚いたような嬉しそうな声が聞こえてくる。
『本当よ。近くに伯父さん達いる?』
「いないよ。出掛けようとしていたところだったんだ」
『そう。それなら少し長く話してても平気ね』
伯父さん達が出掛けてしまったと聞いて、安心してそう言う。
『そうそう、ロンに聞いたわ。大丈夫だった?』
私がこの話題を出すと、ハリーの声が落ち込んだようになった。ロンは夏休みの1週目に、ハリーに電話をかけたみたいだが、大失敗したらしい。