第46章 優しさ
「ジニー...パーシーが何かしてるのを、見たよね。パーシーが誰にも言わないように口止めしたって、どんなこと?」
私もなんだったかなと気になり、ジニーをみた。
「ああ、あのこと」
そう言ったジニーはクスクス笑う。
「あのね...パーシーにガールフレンドがいるの」
フレッドが、ジョージの頭の上に数冊の本を落とした。
「なんだって?」
「レイブンクローの監督生、ペネロピー・クリアウォーターよ。パーシーは去年の夏休みのあいだ、ずっとその人に手紙を書いてたわけ。学校のあちこちで、二人でこっそり会ってたわ。ある日、二人が空っぽの教室でキスしてるところに、たまたまわたしが入って行ったの。パーシーはとっても落ち込んでた...ほら...ペネロピーが襲われたとき。...パーシーをからかったりしないわよね?」
ジニーが最後は心配そうに付け加える。
「夢にも思わないさ」
「絶対しないよ」
まるで誕生日が一足早くやってきたというような顔をしているフレッドとニヤニヤ笑っているジョージ。これはからかうだろうなとここにいる誰もが思っただろう。
『いけない、早く行かないと怒られちゃうわ!行くわね!』
「待って、ユウミ!」
ホグワーツ特急が速度を落としはじめたことで、慌てた私をハリーが呼び止めた。ハリーは、ペンと羊皮紙の切れ端を取り出す。番号を1回走り書きして、その羊皮紙を裂いて私に渡した。
「これ、電話番号って言うんだ。僕というかダーズリーのところに電話をかけてほしいんだけど、ユウミはわからないかな?」
『わからないかもしれないけど、どうにかしてみるわね!ありがとう、ハリー!みんないい夏休みを過ごしてね!』
みんなからの返事を聞きながら、慌ただしくコンパートメントを後にする。クレア達のところに戻った私が、クレアに怒られたのは言うまでもないだろう。