第46章 優しさ
「ソニア・パーネルを覚えているかね?その者とわし、そしてトムの3人じゃ」
『...そうだったんですね。でもどうしてわかったんですか?容姿は全然違いますよね』
ここは私が不思議に思っていたことだ。日本人らしい容姿だった前世の姿の私と今の私では、結び付かないのではないだろうか。
「トムも君に気づいたみたいだが、やはり容姿や口調が変わっても根本のところは変わらないのじゃ」
そういうものなのかと私は納得した。
「孤児院の方とソニアにはわしとトムが説明をしておいたから、心配する必要はない」
『ありがとうございます』
ほっと安心して頭を下げた私に、気にする必要はないと優しく声をかけてくれたアルバス。そこからは、昔に戻ったような感じで談笑をした。そして帰り際、どうしようか迷っていたことを私はアルバスに告げることにした。
『アルバス』
アルバスは、優しくこちらをみてくれる。
『アルバスは、気づいてると思います。私には、どうしても彼をどうにかしようなんて出来ませんでした。私にとって彼は、兄のように慕っていた人なんです。でも、彼が悪いことをしようとしたら私が責任持ってどうにかします。わがままを許してください』
そう言いきって頭を下げて、私は校長室を後にした。
「そういうことみたいじゃが、君はどう思ってるのかね、トム?」
ダンブルドアが声をかけた先には、黒髪に赤目の背の高い一人の青年がいる。
「ふん。ユウミを傷つけるようなことはしないよ。ユウミは、僕の大切な人だ」
青年、もといリドルは眉間に皺をよせてそれだけ言うと姿を消した。ダンブルドアは、安心したのか優しく微笑んだ。
『あれ、トムどこか行ってたの?』
「少し散歩さ」
あれから早く時が過ぎ、もうホグワーツ特急に乗って家へと帰るときがやって来た。クレア達、お馴染みのメンバーとコンパートメントを取った私はお手洗いの帰りにハーマイオニーに手招きをされる。
『どうしたの?』
一つのコンパートメントに、ハリー,ロン,フレッド、ジョージ,ジニーとハーマイオニーの6人で乗っているようだ。私もそこに混ぜてもらい、夏休みに入る前の魔法を使うことを許された最後の数時間を、充分に楽しんだ。キングズクロス駅に着く少し前になり、自分のコンパートメントに戻ろうとした私はハリーの声にそちらを見る。