第46章 優しさ
ハーマイオニーは残念がっていたが、クレア達と微笑み喜んだ。さらにアルバスが、飛び上がるほど喜ぶことを告げる。
「残念ながらロックハート先生は、来学期学校に戻ることはできなくなり、学校を去り、記憶を取り戻すことが必要になった」
この発表にはクレア達とハグをしあい喜び、かなり多くの先生が、この発表で生徒と一緒に歓声をあげたのだった。
夏学期の残りの日々は、焼けるような太陽でぼんやりとしているうちに過ぎていった。ホグワーツは正常に戻ったが、'闇の魔法に対する防衛術'の授業が休止になり、そしてルシウスさんが理事を退任させられたという変化があった。
ドラコが拗ねているみたいだったので、会ったときに精一杯慰めの言葉をかけたが、しばらくはあのままだろう。一方、ジニーは再び元気いっぱいになった。
『ハリー!』
ある日、ハリーを見かけた私は声をかける。
「ユウミ、どうかした?」
私は、秘密の部屋でのことを気にかけていたのだ。
『その、秘密の部屋でのことよ』
「今は無理に聞かないよ。いつか話してくれるかい?」
もじもじとしてやっとそう言った私は、ハリーの言葉に目を見開く。1年生の時のヴォルデモートやトムが、私を傷つけないようにしたことや言動で何かあるとわかっているはずなのに、そう言ったハリー。
『...疑わないの?』
「もちろん。君は、大事な友達だから。信じてるよ」
私はハリーに思い切り抱きつく。
『ありがとう、ハリー。私もハリーのこと大事な友達だと思ってるわ』
照れくさそうに微笑んだハリーを離して、もう一度お礼を述べた。ハリーと別れて部屋へと戻ってきた私は、クレア達がいないのを見てから棚の中から日記の切れ端を取り出す。ずっと日記の切れ端を見ていた私は、人の気配を感じ振り向く。
『...え?』
そこには、あのとき耳をつんざくような悲鳴をあげて消えていったトムの姿があった。
『...あまりにもトムのことを思っていたから、幻覚を見てしまったのかしら...』
「違うよ、ユウミ」
『本物...?あのとき消えたんじゃなかったの?!』
驚きのあまりに叫んだ私に、トムは説明してくれる。
「僕もあのまま、だめかと思ったよ。でも君が僕の日記の切れ端を、持ったままだったことを思い出して、ダメ元でやってみたんだよ」
『わ...私...』