第46章 優しさ
首を傾げた私をアルバスは、校長室の扉の前へと連れてきた。アルバスに促された私は、扉を開ける。少しの沈黙の後に叫び声があがった。
「ユウミ!」
『お父さま、お母さま』
泣いているお母さまは、飛び上がって私に駆け寄り、お父さまもすぐあとに続いた。そして、私は二人に強く抱き締められる。
「良かったわ、無事で。生きていたのね!」
私も二人の背中に手をまわす。しばらくして離れたお母さまとお父さま。
「心配したんだよ、ユウミ」
『ごめんなさい...』
私はすっかり忘れてしまっていたが、意識を取り戻さずずっと眠っていたのだ。そして気がつくと姿を消していた。私を愛してくれている二人にとても心配をかけてしまったとそこで気づいた。
「ユウミ、ルイスとレイラと医務室に行くといいじゃろう」
私は頷き、お父さまとお母さまと共に校長室を出て医務室へと行く。
『お父さま、お母さま、心配かけてごめんなさい...』
「いいのよ。あなたが生きて私と話してくれる、それだけで私は嬉しいわ」
「そうだね。私も、また話せて嬉しいよ」
優しく微笑んだ二人に私は抱きつく。受け止めてくれたお父さまとお母さま。
『ありがとう...』
お父さまとお母さまは、私をマダム・ポンフリーに預けて家へと帰っていった。そのため、医務室のベッドで横になり天井をボーッと見ている。今日起こったことを考えたが、すぐに目を瞑った。自分の頬をスーっと冷たいものが伝ったことにも気づかないふりをして。
「あら、起きたの?」
『はい』
私が目を開けると、ちょうどマダム・ポンフリーが私のベッドの傍にいた。
「宴会がそろそろ始まるはずですよ。疲れているなら、ここで休んでいることも出来ますがどうしますか?顔色は平気そうね」
『参加します』
マダム・ポンフリーは頷き、私はパジャマのまま立ち上がる。大広間の扉を開けると、中ではみんながはしゃぎ騒いでいた。その騒ぎに紛れて、私は中に入りグリフィンドールの皆が集まっているところへ向かう。
「ユウミ!」
『ハーマイオニー!』
一番に気づいたのは、ハーマイオニーだ。
「ハリーとロンから聞いたわ!無事で本当に良かった!」
『ハーマイオニーも無事で良かったわ!』
ハーマイオニーとハグを交わし、ハリーに向き直る。