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愛される少女【HP】

第45章 バジリスク


「ハリー、本題に入ろうか」

そう言ったトムの顔には、笑いが広がっていた。

「2回も君の過去に、僕にとっては未来にだが...僕たちは出会った。そして、2回とも僕は君を殺し損ねた。君はどうやって生き残った?すべて聞かせてもらおうか」

トムは、静かにこう付け加える。

「長く話せば、君はそれだけ長く生きていられることになる」

ハリーが考えている間、私はトムを見つめた。トムの輪郭がはっきり、しっかりしてきたことに私は気づく。

「君が僕を襲ったとき、どうして君が力を失ったのか誰にもわからない。僕自身にもわからない。でも、なぜ君が僕を殺すことができなかったか、僕にはわかる。お母さんが、僕を庇って死んだからだ。お母さんは普通の、マグル生まれの母親だ。君が僕を殺すのを、お母さんが喰い止めたんだ。僕は本当の君を見た。去年のことだ。落ちぶれた残骸だった。辛うじて生きている。君の力のなれの果てだった。君は逃げ隠れしている!醜い!汚らわしい!」

唐突に話し出したハリーは、怒りを押さえつけるために震えながら叫んだ。トムの顔が歪む。それから無理やり、ぞっとするような笑顔を取りつくろった。

「そうか。母親が君を救うために死んだ。なるほど。それは呪いに対する強力な反対呪文だ。わかったぞ...結局君自身には、特別なものは何もないわけだ。実は、何かあるのかと思っていたんだ。ハリー・ポッター、何しろ僕たちには不思議に似たところがある。君も気づいただろう。二人とも半純血で孤児で、マグルに育てられた。偉大なるスリザリン自身以来、ホグワーツに入学した生徒の中で'蛇語'を話せるのは、たった二人だけだっただろう。見た目もどこか似ている...。しかし、僕の手から逃れることができたのは、結局幸運だったからに過ぎないのか。それだけわかれば十分だ」

ハリーは身体を固くしたが、トムの歪んだ笑いがまたもや広がった。

「さて、ハリー...少し教訓を教えることにしよう。サラザール・スリザリンの継承者ヴォルデモート卿の力と、有名なハリー・ポッターと、ダンブルドアが送って寄越した精一杯の武器とを、お手合わせ願おうか」

フォークスと組分け帽子をからかうように、チラッと見たトム。その場を離れようとした。

「あぁ、忘れていたよ」

しかし、トムはその言葉と共に杖を振る。

『きゃあ!』

「ユウミ!!」

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