第44章 記憶
パチっと目を開いた私は、ゆっくりと辺りを見渡した。どうやら、医務室の一室で寝かされているようだ。どこの時代かわからなかった私は、そっと起き上がる。私のベッドの周りには、たくさんのお見舞い品があり、カーテンが引かれていた。とりあえず体に問題はなさそうなため、立ち上がりカーテンの引かれているところを見る。
『...ハーマイオニー...』
そこには、石になって固まっているハーマイオニーがいた。戻ってきたのだ、私は。とにかく、物語がどこまで進んでいるのか把握したいと思った私は、医務室を出た。
『マートル、いる?』
「あら、ユウミじゃない?!体は大丈夫なの?」
マートルに声をかけながら入った私に、すぐに反応してくれたマートルは心配そうに問いかける。
『ふふ、ありがとう、大丈夫よ。ここにハリー達来た?』
「えぇ、来たわよ。3人でね。変なキザっぽい男に杖を突きつけてたわ」
それを聞いて、ジニーはもう連れ去られたと知った後で、3人はロックハート先生とハリーとロンだろう。手洗い台のあったところが開き、ぽっかりと穴が開いていた。太いパイプだ。
『ここに入っていったのよね?』
「えぇ、そうよ。...行くの?」
確認するように尋ねた私に、マートルは頷いてから怪訝そうに問う。
『行くわ。もし何かあったら、マートルとここにいてもいいかしら?』
冗談めかして言うと、マートルは頬を染めて照れたように頷く。
『ありがとう、じゃあ、私行くわ』
私は覚悟を決めて、パイプに入った。トムと降りた時と同じように降りようと思った私は、あのときはいつもトムに頼って支えられていたことを忘れていた。
『きゃーーー』
「うわぁあああ」
ドンという音と共に、出口にいた人物を倒してその上に着地してしまう。
「誰?!」
『ハリー!!』
警戒した鋭い声をあげた声に私は叫ぶ。
「とりあえず...ど...どいてくれよ...」
『ご、ごめんなさい!』
しかし、下から聞こえてきた声に慌ててどいて立ち上がる。
「ユウミ?!本当にユウミなの?!」
光を私に向けたハリーは、私の元に近づいてきた。
『そうよ、ハリー』
にっこりと笑った私に、ハリーは驚きを隠せない様子だ。
「君、起きたの?!大変だったんだよ!」
こちらも驚きを隠せていないロンが叫んだ。