第5章 ホグワーツ特急
私はあの夢にまで見た9番線と10番線の間の壁の前に立っていた。
『お父さま、ここがそうなのね!私、ちょっと怖いわ』
いざ壁を見ていると本当に通り抜けられるのか不安で、隣に立っているお父さまを見上げると、お父さまは笑っていた。
「私も最初はドキドキしたものだよ。一緒に行こうか。私の腕に掴まりなさい。怖かったら壁の少し前で目を瞑るんだよ」
お父さまの提案にすぐのり、差し出した腕に掴まった。お父さまが歩き出したのでそれに着いていき壁の直前で目を瞑った。
「もう大丈夫だよ。目を開けてごらん?」
お父さまの声に目を開けると目の前には、ホグワーツ特急があった。あまりの綺麗さにしばらく見つめてしまった。
『綺麗だわ...』
「そうだね。これに乗っていくんだよ」
お父さまの言葉に実感が湧いてきてしばらく見ていたが、満足したのでお母さまとの待ち合わせ場所に行くことにした。
『お母さま!』
そこにいくとすぐにお母さまは見つかり声をかけるとこちらに気づき、微笑んでくれた。
「どうだったかしら?」
『お父さまから聞いたわ。お母さまもお父さまもありがとう、嬉しかった。壁を通り抜けるときは、怖かったからお父さまに助けてもらったわ』
笑いながらお母さまに離れていたときのことを報告していた。
「ユウミ、そろそろ荷物を置いてきたほうがいいよ。コンパートメントが混んじゃうからね」
しばらくしてお父さまに声を掛けられたので、お父さまに手伝ってもらいながら荷物を置いて、お母さまのもとに戻ってきた。そこからも3人で談笑していたが、あっという間に時間が過ぎ、そろそろ列車に乗らないといけない時間になってしまっていた。
「ユウミ、ホグワーツはとてもいいところだよ。ユウミもきっと楽しめるさ。体調には気を付けるんだよ」
「ユウミ、手紙を書いてちょうだいね。楽しみにしているわ。いろいろなことを教えてちょうだい。体には気を付けるのよ」
二人からハグをしながら、言葉をもらって泣きそうになってしまったが、頑張って耐えた。
『お父さま、お母さまありがとう。手紙書くわ。もちろん体調にも気を付けるから大丈夫よ。クリスマス休暇は帰るつもりでいるわ。いってきます』
「「いってらっしゃい」」
もう一度2人とハグをして、名残惜しいが汽車に乗った。