第5章 ホグワーツ特急
あれから日は流れ、今日はついにホグワーツへと向かう日だ。この部屋とも少しの間お別れかと思うと名残惜しく、部屋を見回してから出た。
『お父さま、お母さま、ディニーお待たせ』
下に降りるとそこには、両親とディニーがいた。ディニーは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
『ディニー、いつもお世話ありがとう。またクリスマスによろしくね』
「もちろんでございます、お嬢様!」
ディニーを抱き締めながら笑顔で言うと、元気よく返事をして笑顔を浮かべてくれた。
「では行こうか、ユウミ」
ディニーはここでお別れなので、もう一度抱き締めて挨拶を交わした。
『お父さま、お母さま、付き添い姿あらわしするのよね?』
「そうよ。あなたの体調が心配だから、他の手段を取りたかったのだけど難しかったのよ」
私たちの住んでいるところからは、姿あらわしが一番早く移動できるので聞いてみると、とても心配そうに答えてくれた。
『大丈夫よ?もしダメだったら、汽車で休めるわ。それに私が我が儘を言ったのだから心配しないで』
そう実は、キングスクロス駅の近くに泊まって、そこから行くのが体調のことを考えるといいと提案されたのだが、家にギリギリまでいたいと私が我が儘をいいその案はなくなったのだ。
「では行こうか。おいで、ユウミ」
「私は先に行ってるわね、ルイスよろしくね」
「もちろん」
お母さまの言葉の意味がよくわからなかったが、お父さまに呼ばれたので、荷物はお母さまに預けてそばに行った。お父さまは私を軽く抱き締めて、すぐにバチッという音がした。
「着いたよ。体調はどうだい?」
お父さまの声に目をゆっくり開けて離れると、そこは暗い路地裏だった。
『...?お父さま?』
姿くらましをしたので、9と3/4番線に直接行くと思っていたので不思議に思い、お父さまに尋ねた。
「小さい頃に、ユウミが9番線と10番線の間の壁から入りたいと言っていたのを聞いて、そうしようと決めていたんだ」
お父さまは私の言いたいことがわかったのか、懐かしそうにしながら微笑んで教えてくれた。ここで先程のお母さまの言葉の意味がわかった。
『覚えていてくれたのね!嬉しいわ』
「大切な娘のことなんだから当たり前だよ。体調は大丈夫そうだね。さぁ行こうか」
「えぇ、お父さま」