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愛される少女【HP】

第43章 お別れ


夏休みも終わり、私は3年生になった。

『トム、監督生に選ばれてすごいね!おめでとう』

「ありがとう」

トムは5年生になり、そこでスリザリンの監督生に選ばれたのだ。そのため笑顔で言った私に、トムも優しく微笑んでくれる。今は組分けの儀式の最中で、2年前は私もあんな顔をしていたのかと懐かしい思いだ。あれから私の記憶が戻る気配はない。しかし、ソニアとトムやアルバスなど色々な人と過ごしているおかげで、それを悲しく思う暇がないことが幸いだった。

「どうしたの?」

談話室でソファに隣同士に座っていた私とトム。そこで、トムの顔をじっと見ていた私に気づいたのか、トムが読書を中断して私に問いかける。

『みんながトムのことかっこいいかっこいいって言ってるから、改めて見てみたの』

トムは少し考えてから言った。

「ユウミはどう思う?」

『カッコいいよ』

満面の笑みを浮かべた私に、トムは優しく微笑んだ。私はそんなトムの耳もとで小声でこう呟く。

『でもね、みんなに笑っているトムより今みたいに笑っているトムが一番好きなの。なんでかな?なんとなくだから説明は出来ないけど...』

目を開いたトムは、私の頭を撫でてから読書に戻った。

「それは、作り笑いと本当に笑ってるかの違いよ」

部屋に戻った私が、ソニアに先程のことを説明したらそう言われる。

『作り笑い?』

「そうよ。まぁ、あなたはわからなくていいのよ」

首を傾げた私にそう言ったソニア。もう一度聞こうとしたが、そのまま他の話になり流されてしまったのだった。

そこからの日々はあっという間だった。選択科目が増えたことで授業や課題にやることがたくさんだったのだ。それに加えて、私はトムに色々教えてもらっていた。3年生より上の学年で習うような呪文もである。トムに教えてもらうようにお願いした時は、猛反対された。

しかし、なぜだかわからないが色々な呪文が出来るようにならなければならないと突然思ったのだ。そのため、トムにお願いをした。私の熱意に負けたのか、トムは渋々という感じで教えてくれていた。しかし、私の吸収の良さがあったからか最近はたくさんのことを教えてくれている。

『トム、ありがとう』

「突然どうしたんだい?」

呪文の練習が終わってからお礼をつげた私に、トムが不思議そうに問いかけた。

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