第42章 ホグワーツ
私達は先生について、大広間へと入った。ついに組分けの儀式が始まるのだ。緊張していた私は、こちらを遠くから心配そうに見ているトムの視線にも、広間の素晴らしい景色も目に入ることはなかった。
「見て。組分け帽子よ」
ソニアの囁く声に顔をあげる。そこには確かに帽子があった。つぎはぎのボロボロで汚ならしいものだ。帽子が突然口を開き、歌いだしたことでとても驚いてビクッとした私をソニアが笑ったりとあったが、ついに組分けが始まる。先生に名前を呼ばれて、あの帽子をみんなが被っていく。
「パーネル・ソニア!」
ソニアの名前が呼ばれた。ソニアは私に軽く微笑みかけて、堂々とした態度で前にいく。帽子をかぶったソニア。少ししてから寮の名前を帽子が叫んだ。
「スリザリン!」
確かトムと同じところだと思いつつソニアを見たら、私に軽く微笑んでからテーブルに行った。そこからまた寮の組分けが進んでいき、その時はやってきた。
「マーレイ・ユウミ!」
心を落ち着かせるように、手を自分の胸の位置に手を当ててから前へと出ていく。先生が私に帽子をかぶらせる。
「ほう。君は面白い子だな」
『え?』
突然帽子の言った言葉に、戸惑う。
「いや、なんでもない。君はどの寮でも上手くやっていける。どこか希望はあるかね?」
私は少し動揺したが、すぐに考える。行きたい寮はどこなのかと。
『スリザリン...私、スリザリンがいい』
でも、考える必要はなかった。スリザリンにはトムがいる。だからスリザリンがいいと。
「よろしい。スリザリン!!」
わっと歓声の上がったテーブルへと私は向かう。テーブルでは、トムが私のことを立って迎えいれてくれた。
『トム!』
「ユウミ」
優しく微笑んだトムに抱きつくと、優しく抱きしめかえしてくれる。大広間がざわっとしたことにも気づかず、私はトムに導かれてトムの隣に腰かけた。
「ユウミ」
声をかけられてトムとは反対の隣を見た私は、にっこり笑う。
『ソニア!同じ寮で嬉しい!』
「私もよ」
綺麗に微笑んだソニア。
「君は、さっきユウミと話していた子だね。ユウミのことをよろしく頼むよ」
トムがソニアの方を見て、笑いかけた。
「いいえ。私は、ソニア・パーネルです。よろしくお願いします」