第41章 トラブル
ヘビは前にいて、後ろにはトムしかいないはずなのにおかしいと思ったが、それどころではなく前にいるはずのヘビを見る。ヘビはなぜか大人しくなっていた。
「大丈夫、ユウミ?」
びっくりしている私に、トムが近づき声をかけてきた。コクンと頷いてお礼を言ってから私はトムに尋ねる。
『トム...今、シューシュー言ってた...?』
びっくりしたような顔をしたあと、顔をひきつらせたトム。
「...気のせいだよ」
『もしかして、ヘビと話せるの?』
トムが誤魔化したのを気にせず質問すると、トムは少し悩んでから頷いた。
『すごい!!トムすごいね!』
興奮して手を叩くと、トムは目を見開く。それからふと笑いをもらすと、興奮している私を落ち着かせるように頭を撫でた。
「ユウミ、ありがとう」
『何言ってるの、トム!私が助けてもらったんだよ、ありがとう、トム』
笑みを浮かべて、お礼をもう一度言う。
『トム、このヘビさんにさっきの男の子達がごめんねって謝ってくれる?』
トムは頷いて、口からシューとヘビさんに向かって音をだす。そのヘビさんは、トムとおそらく会話をするとこちらに近づいてくる。私がしゃがみこんで手を出すと、ヘビさんは私の手にすりすりとした。
『わ〜ヘビさん可愛いね』
にこにこ笑ってヘビさんと戯れている私を、トムがすごく優しい顔で見ていたとは気づかなかった。そして、この日を境に、トムはより一層私に優しくなった。