第41章 トラブル
あれから数年の年月が経ったが、私の記憶は戻る気配が一切ない。私は、困っていることがある。トムのことだ。トムは怯えられている。それはいろいろな事件が起きていて、その犯人として名前があがったのが、トムだったからだ。しかし、どれもおかしなことばかりだ。
例えば、ビリー・スタッブズの兎。ビリーの兎は、天井の垂木から首を吊っていたのだ。あまりのことに見つけた子は悲鳴をあげて腰を抜かしていた。そこで犯人とされたのがトムだ。トムは前の日にビリーと口論をしていたのだ。トムはコールさんにやっていないとそう言ったみたいだ。
他にも1年に1回の夏の遠足のときに、トムと一緒に洞窟に入ったジュン・ベンソンとデニス・ビショップは、それからずっとどこかおかしくなった。トムは一緒に探検しただけだと言ったらしい。
『ねぇ、トム』
「どうしたの?」
読書をしているトムに話しかける私に、トムは読書を中断して心配そうにこちらを見る。私は聞こうと思っていたことを心配そうなトムを見て諦め、にっこり笑ってなんでもないと告げた。トムは唯一、私だけは側において仲良くしてくれた。そして、とっても優しくしてくれる。そんなトムがそんな事件の犯人だなんて信じられない。
私が8歳になる日の夏の遠足の日。今回は山への遠足だった。私はどうやら、体が弱いらしい。全力疾走をしたときには、胸,正確には心臓が痛くなりそのまま気を失ってしまった。そのときに私は、心臓が弱く体も弱いことがわかった。
「みなさん、ここに時間になったらちゃんと戻ってくるように。わかったわね?」
山の上からの景色はとてもいいものだ。そして、今からは自由時間だ。時間までは好きに遊んでいていいのである。
『トム!』
「行こうか」
私はトムを誘い、山の中に入っていく。リタは、小さい子と遊んでいる。トムとの会話を楽しみながら山へと入っていた私。ふと前の方では、男の子達が集まっていた。
『トム、あれなにしてるのかな?』
「なんだろうね」
心底どうでもよさそうな顔でトムは答える。気になった私が近づくと、男の子達はヘビをいじめていた。やめた方がいいと思って注意をしようとするも遅く、シャーとヘビは威嚇しだす。さすがに怖かったのか逃げ出す男の子達。逃げ遅れた私にヘビは、向かってくる。痛みに備えて目を瞑る。そのとき、シューシューと音が後ろからした。