第41章 トラブル
もう少しで1日が終わろうとした頃にそれは起こった。ガッシャーーンと窓ガラスの割れる音がしたのだ。私達は顔を見合わせてからそこに向かう。そこにいたのは、トムとジョンだ。窓ガラスが粉々に割られていて、普段の色とは違い目を赤くしたトムと何かに怯えているジョンがいた。
『トム、ジョン、だいじょうぶ?』
私は割れたガラスを踏まないように気をつけて二人に近づく。
「化け物!!」
突然、ジョンが叫んだ。驚いて振り向くとジョンは怯えた目でトムを見ている。
「おまえ!あんな...あんな...」
興奮しているジョンの側にリタが行ったのを確認した私は、トムの近くにいく。
『トム、だいじょうぶ?』
「僕に近づくな!!」
近づく私にトムが怒鳴った。
『でもトム...お怪我は?いたいところない?』
心配でトムを見つめる。トムはハッとしたような顔をすると、次にはなんだか悲しそうな顔をしたような気がした。心配になった私は、トムに言われたことを無視して近づき、怪我をしてないかトムの体をペタペタ触りながら確認する。怪我はないみたいだ。
「まぁ!一体何があったの?!」
コールさんが声をあげながら、向こうからやってきた。
「あいつが!あいつが!」
まだ興奮気味のジョンが叫んだ。
「ジョン、トム、いらっしゃい。リタ、お願いしてもいいかしら?」
「もちろんです」
コールさんは、トムとジョンと一緒に去っていく。トムは私に、怒鳴ってごめんと言い残した。
『...リタ』
「大丈夫よ」
にっこり安心させるように微笑んだリタ。リタは私達に向かってテキパキと指示をだす。
「あなた達はここを片付けるのを手伝って?あなた達は危ないから部屋に戻ってね」
リタは小さい子達には部屋に戻るように伝えたため、私も部屋へと戻る。あのあと聞いた話では、ジョンとトムは何かが原因で口論になり、ジョンの発言に怒ったトムが窓ガラスを割ったらしい。それに関してジョンは、トムが怒ったときに窓ガラスが自然に割れたと言ったみたいだ。そう、まるで魔法のように。しかし、誰もそれを信じることはなかった。
『リタ、ジョンとトムだいじょうぶ?』
部屋でそわそわしていた私は、帰って来たリタにすぐに聞く。
「えぇ、大丈夫よ」
頭を撫でて、優しく笑ったリタに私も安心してにっこり笑った。