第40章 遭遇
ゆっくりと目を開いた私は、森にいた。木立が密生していて、どこからも日は差し込んでこない。
『どこかしら?』
私はとにかく立ち上がり歩き出す。周りをきょろきょろしても見覚えのない場所だ。私はホグワーツにいて、ハーマイオニーと図書館に行って...。そう、ハーマイオニーは石になってしまった。
私が呼び掛けられて振り向いた先にあったのは、黄色い目が2つ。もしや、バジリスクだったのかもしれない。つまり、私は死んでしまったのだろうか。不安にかられながらも歩いていると、日が射し込んでキラキラ光る湖が見えてきた。
『湖だわ!』
湖に近づいた私は、水面にうつった自分を見て目を見開く。そこにうつっていたのは5歳くらいの小さな女の子で、容姿は前世の私にそっくりだ。
『...どういうことかしら...。でもまずこれからどうするのかを考えないといけないわ』
そのとき、頭が痛みだし私は頭を押さえるようにして座りこむ。
『...っ...』
頭のなかがひび割れるように痛み、そのまま私は気を失ってしまった。私はまさか次に目を覚ましたときに、大切なものをなくしてしまうとは思ってもなかった。
ゆっくりと目を開いた私は森にいた。
『...ここはどこ?』
怖く思った私の目から涙が出てきそうになる。そのとき、がさっと草むらから音がした。
『だれ?』
しかしなんの反応もない。それでもじっと見ているとそこから男の子が出てきた。
「なにしてるの?」
その男の子は私に向かって問いかける。
『わからないの。なんでここにいるのかな』
少し考えてから男の子は私に向かって、手を差しのべる。
「おいでよ、案内するよ」
こくりと頷いて、その男の子の手を掴み立ち上がろうとする。その瞬間、知らない森にいた不安から解き放たれたからか意識を失ってしまうのだった。
「起きたのね、大丈夫?」
目を覚ました私は、痩せたとげとげしい顔つきの女の人に問いかけられる。私はこくっと頷く。
「どうして森にいたのかわかる?」
『ううん、気づいたら森にいたの』
「そう...」
私の答えに女の人は困ったような顔をする。
「お名前は?」
『ユウミ・マーレイ』
「他に覚えていることはある?パパ,ママは?」
思い出そうとすると、頭がズキッと痛みだしてしまう。そのため私は首を横にふった。