第38章 危険な日記
「僕はどうして誰かがこれを捨てようとしたのか、それが知りたいんだよ。リドルがどうして'ホグワーツ特別功労賞'を貰ったのかも知りたいし」
ハリーが言った。
「そりゃ、なんでもありさ。'0・W・L(標準魔法レベル試験)'試験で30科目も受かったとか、大イカに捕まった先生を救ったとか。極端な話、もしかしたらマートルを死なせてしまったのかもしれないぞ。それがみんなのためになったとか...」
ハリーにいろいろな予想を話すロン。しかし、ハリーはじっと考え込んでいるハーマイオニーの表情を見ている。おそらくハリーとハーマイオニーは同じ事を考えているのだろう。
「なんだよ?」
ロンは、私達の顔を順番に見ている。
「ほら、'秘密の部屋'は50年前に開けられたんだろう?マルフォイがそう言ったよね」
「うーん.....」
ハリーの言葉に考えるようにロンはゆっくりと言う。
「そして、この'日記'は50年前の物なのよ」
ハーマイオニーがハリーに続いて興奮したように日記を指でトントンと叩く。
「それが?」
「何よ、ロン。目を覚ましなさいよ」
まだわかっていない様子のロンにハーマイオニーが強く言った。
「'秘密の部屋'を開けた人が、50年前に学校から追放されたことは知ってるんでしょう。T・M・リドルが、50年前'特別功労賞'を貰ったこともわかってるでしょう。それなら、もしリドルがスリザリンの継承者を捕まえたことで、賞をもらったとしたらどう?この'日記'は、すべてを語ってくれるかもしれないわ。'部屋'がどこにあるのか、どうやって開けるのか、その中にどんな生物が棲んでいるのか。今回の襲撃事件の背後にいる人物にとっては、'日記'がその辺に転がってたら困るでしょ?」
「そいつは素晴らしい論理だよ、ハーマイオニー。だけど、ほんのちょっとちっちゃな穴がある。'日記'には何にも書かれていないよ」
ロンの言葉を受けたハーマイオニーは、鞄の中から杖を取り出す。
「透明インクかもしれないわ!"アパレシウム(現れよ)"!」
ハーマイオニーは呟いたあと、日記を3回軽く叩いてから唱えた。何も起きない。しかし、ハーマイオニーは怯むことなく、鞄の中に手を突っ込み、真っ赤な消しゴムのような物を取り出した。
『それ、現れゴム?』
「えぇ、そうよ。ダイアゴン横丁で買ったの」