第38章 危険な日記
「だって、処罰を受けたとき、フィルチに50回以上もこいつの盾を磨かされたんだ。ナメクジのゲップを引っかけちゃった、あの盾だよ。名前のところに付いたあのネバネバを1時間も磨いてりゃ、いやでも名前を覚えるさ」
恨みがましくロンは言った。ハリーが濡れたページを剥がすようにそっとめくる。何も書かれていなかった。どのページにも、何かを書いたような形跡さえもまったくだ。それもそうだろう。これは日記として使うのではないのだから。
「この人、日記になんにも書かなかったんだ」
ハリーはがっかりしたようだ。
「どうしてこれをトイレに流してしまいたかったんだろう...」
ロンが興味深げに言う。
「この人、マグル出身に違いない。ボグゾール通りで日記を買ってるんだから...」
考え深げな様子のハリー。私はそんなハリーに提案をした。
『ハリー、それ1枚破って私にくれないかしら?私も調べてみたいの』
ハリーは快く応じてくれて、1枚破り私に渡してくれる。その後にハリーは自分のポケットにそれを入れた。ハリーとロンと別れた私は、空き教室に入ってハリーからもらったリドルの日記の紙を机の上に出し考える。
『おかしいわ。私...懐かしいと思ってしまったの』
私はリドルの日記を見たとき、なぜかそう思ったのだ。しかし、私は初めてリドルの日記を見た。だから懐かしいと思うのはおかしいのだ。しばらくそこで考えていたが何も思い付かない。そのため私は気のせいだと思うことにした。
2月のはじめには、ハーマイオニーがヒゲなし,尻尾なし,顔の毛もなしになって、医務室から出て来ることができた。ハーマイオニーがグリフィンドール塔に帰って来たその夜、ハリーが'T・M・リドルの日記'を見せ、それを見つけたときの様子を話すところに私もちょうど居合わせた。
「うわー、もしかしたら何か隠れた魔力があるのかもよ」
ハーマイオニーは興味を持って、'日記'を手に取って詳細に調べる。
「魔力を隠してるとしたら、うまく隠しきってるな。恥ずかしがりやかな。ハリー、そんなものなんで捨ててしまわないのか、わからないな。ユウミは捨てたんだろう?」
『えぇ。捨てたわ』
私はハリー達に嘘をついた。調べたが何もわからなかったから捨ててしまったと。もちろん捨てずに、棚の奥にしまってある。