第37章 親子
「お前は!なんてことを言ってるんだ!」
「私は!そんなことしたくない!なんでわかってくれないの?!」
二人とも興奮して大声で言い合う。さらにミアは言葉を続けた。
「この前も言ったわ!私は今のままがいいって!...っ!!」
ミアはそう言い捨てて、部屋を出ていってしまう。私はお父さまとアイコンタクトを取り、ミアを追いかける。
『ミア!ミア待って!』
「...っ、ユウミ!!」
ミアは追い付いた私に抱きつく。私はそれを優しく抱き締め返す。落ち着くまで待とうとそっと背中を擦った。
『落ち着いた...ミア?』
「えぇ...ありがとう...」
落ち着いた様子のミアを自分の部屋に案内して、ミアと一緒にソファに座る。
「...ごめんなさい、ユウミ。あんなになっちゃって...」
『大丈夫よ』
申し訳なさそうな顔をしたミアに私は微笑む。
『それに...ミアが自分の思ったことを言えて良かったと思ってるわ』
「私...あんなこと言っちゃってお父様にきっと呆れられてしまったわ...」
またうるうると涙が出そうになっているミアを見て私はミアの手に自分の手を重ねる。
『いいえ、そんなことないわ。でもね、ミア?ちゃんと自分の気持ちを伝えましょう?』
「私の気持ち?」
『そうよ、思っていることがあるわよね』
ミアは小さく頷く。
『それを言ったらいいわ。今頃ミアのお父さまは私のお父さまとお話をしていると思うの。少ししたら呼ばれると思うからそのとき言うのよ』
「...でも...」
『私もついてるから大丈夫』
ミアの目を見て力強く言うと、少し思案してから頷いた。
「お嬢様!!」
『ディニー、どうしたの?』
そのあとは二人で話していると、しばらくしてディニーが部屋へと現れる。
「ご主人様がお呼びでございます!」
『...そう。ありがとう、ディニー。ミア、屋敷しもべ妖精のディニーよ。とっても優秀なの』
私の言葉にディニーは照れている。それを微笑ましく思いながらもミアに紹介した。
「やっぱり屋敷しもべ妖精がいるのね。私は、ミア、よろしくね」
「はいでございます!」
ミアはディニーに優しく微笑む。
『ディニー、お父さまにすぐに行くから待ってもらうように伝えてもらえる?』
「伝えてきます!」