第37章 親子
『ただいま、お父さま,お母さま!』
「「おかえり、ユウミ」」
汽車を降りた私は既にいたお父さまとお母さまにハグをして久しぶりの再会を喜んだ。
『お父さま、お母さま、ミアのことありがとう』
「大切な娘からのお願いを聞かないわけにはいかないからね」
「そうね、私達に出来ることなら協力するわ」
お父さまとお母さまは微笑んでくれるので、私ももう一度お礼を言って微笑み返す。しばらくしてディニーが現れたのでディニーの魔法で私達は家へと帰って来た。
『ただいま、お父さま,お母さま,ディニー!』
「「おかえり、ユウミ」」
「おかえりなさいませ、お嬢様!」
玄関をくぐって改めて挨拶を交わして私は自分の部屋に戻ってきた。
『帰って来たって感じだわ』
「ホーホー」
鳴き声にそちらを見ると、何かを訴えるように鳴くミーア。
『あら、どうしたの?』
ミーアの鳥籠の扉を開けると、ミーアは私の腕に乗る。
『ふふ、可愛いわね』
「ホー」
可愛さのあまりに指で撫でてあげるととっても気持ち良さそうな顔をした。一段落ついてから私は、窓を開けてミーアを放してあげることにする。
『汽車の中でも鳥籠の中で狭かったでしょう?羽をのばしてくるといいわ』
「ホー!」
気のせいかもしれないが、目をキラキラとさせて元気よく鳴いてからミーアは飛んでいく。ミーアのために窓をあけておいて、私は椅子に腰かけて教科書を開く。
『それにしても、このままだと私みんなを救うなんて大それたこと出来るのかしら。今のままだと足手まといになる未来しか想像できないわ』
溜め息をひとつ溢して、教科書をもくもくと読み出す。もちろん読んだからといって実技が出来るわけではない。しかし未成年の今、実技の練習は出来るわけもなく少しでも知識を得ようと思ったのだ。
「お嬢様、夕食の支度が出来ました!」
『ディニーありがとう。ミーアまだ帰ってきてないのかしら?』
ディニーの声に反応して振り向き、ミーアはまだ帰ってきてないのかと驚いた。
「ホー!ホー!」
『あ、ごめんなさい。私が気づかなかっただけね』
自分の存在をアピールするように鳴いたミーアに謝ってから窓をしめて、階段を降りる。