第4章 ダイアゴン横丁
楽しみにしていたオリバンダーのお店にきた。やはり、外見はとてもボロボロだ。
「行くわよ、ユウミ」
お母さまの声にハッとして、慌てて後に続いて中に入った。中は前世で見ていたときと同じで、たくさんの箱が積まれていた。少しすると、オリバンダーが現れた。
「これはこれはMs.アリスン!あなたがこのお店に来たことがつい昨日のことのようじゃ」
「オリバンダー、今はマーレイよ?それと今日はこの子の杖を見てくださるかしら?」
お母さまは私の肩に手を置きながら、慣れたように答えた。もしかしたら、オリバンダーさんはいつもこうなのかもしれない。
「それは失礼した、Mrs.マーレイ。お嬢さん杖腕は?」
オリバンダーさんの問いに右手を上にあげることで答えて、調べ終わるとオリバンダーさんはひとつの杖を持ってきた。
「ぶなの木にドラゴンの心臓の琴線。良質でしなりがよい」
前世の記憶通りに、おそるおそる手に取り杖をふってみた。すると、棚から箱がたくさん落ちてきてしまった。
「いかんいかん、合わないようじゃな。どれどれ」
オリバンダーさんは次の杖を探しにいった。このような調子で、複数の杖を試しても合わずに、魔力がないのかととても焦ってしまった。
「もしかしたら、あれかもしれん!」
しかし、オリバンダーさんは興奮したようにそう言うと奥から1つの杖を持ってきた。
「サクラの木に、一角獣の毛。しなやかで、気難しいが主人に忠実」
私はサクラと聞いて、もしかしたらそうなのかもしれないと思った。前世は日本人だから。おそるおそる杖を手に取り振ると、サクラの花が降ってきた。
「ブラボー!綺麗じゃ。この杖は扱いが難しいが、一度主人と認めたらその人以外は魔法を使えないのじゃ。今まで誰にも合わなかったのに、おぬしには合ったのじゃな。大切にしなさい」
「はい」
オリバンダーさんの言葉を噛み締めて、頷きながら答え、後ろを振り向くとそこにはお母さまとお父さまがいた。
『お父さま!気づかなかったわ』
「いい杖が見つかってよかった。次はフローリッシュに行く前に、ユウミ、ペットはどうする?」
お父さまに近より話しかけると、微笑んで聞いてくれた。
『欲しいわ!お父さまとお母さまにお手紙を書きたいから梟がいいわ』
「それなら、先にイーロップに行こうか」