第4章 ダイアゴン横丁
奥にいくとそこには、レンガの壁があった。今でこそ見慣れたが、初めてのときは興奮してしかたなかった。お父さまはそこに近づくと、馴れたように杖でトントン叩き、しばらくするとレンガが割れていき、ダイアゴン横丁が見えた。何度みてもこの光景は興奮する。ダイアゴン横丁は新学期前だからか、人で賑わっていた。
「行きましょう、ユウミ、ルイス」
お母さまの声に従って、ダイアゴン横丁に足を踏み入れた。
「教科書は重いから後にしましょう。私とユウミでマダム・マルキンのお店で洋服を見てくるから、ルイスは他のを買ってくれるかしら?」
お母さまの出した指示に従い、そこでお父さまとは別れてお母さまとマダム・マルキンのお店に向かった。
チリンチリン
「お嬢さん、ホグワーツなの?...あら、あなた」
「久しぶりね、マダム」
「えぇ、本当に」
二人は知り合いだったのか、仲良く談笑していた。居心地悪く立っていると、そんな私に気づいたのか私に目が向けられた。
「あら、ごめんなさい。お話に夢中になっちゃってね。こっちにいらっしゃい、採寸しますよ」
マダムは軽くお母さまに声をかけて、私を奥に連れていってくれた。しばらくして採寸が終わり、お母さまのもとに向かい、お母さまとマダムは軽く挨拶を交わすとお店を出た。
『お母さま、次はどこ行くの?』
「次はお待ちかねの杖よ。楽しみにしていたでしょう?」
お母さまの言葉通り、私は杖をとても楽しみにしていた。だから早く行きたくて仕方なかった。やっと私の杖に会える。楽しみにしながら大きく頷いた。私が早く行きたいのを悟ってくれたのか、お母さまは微笑むと歩き出したので、私も遅れないようにと追いかけた。