第35章 決闘クラブ
「では、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう。スネイプ先生がおっしゃるには、決闘についてごくわずかご存知らしい。訓練をはじめるにあたり、短い模範演技をするために、勇敢にも手伝ってくださるというご了承をいただきました。しかし、お若いみなさんにご心配をお掛けしたくはありません。私が彼と手合わせしたあとでも、みなさんの'魔法薬'の先生は、ちゃんと存在します。ご心配なきよう!」
「あんなこと言っちゃってる〜」
「本当ね。スネイプ先生すごい形相だもの」
エイミーとミアの言葉にセブルスの方を見ると、上唇がめくれ上がっていた。セブルスがあんな表情をしているのに笑ってられるのはある意味、大物だ。ロックハート先生とセブルスは、向き合って一礼する。ロックハート先生のほうは腕を振り上げくねくね回しながら身体の前に持ってきて、大げさな礼をした。セブルスは不機嫌に頭を下げただけだ。それから、二人とも杖を剣のように前に突き出して構えた。
「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています」
ここでロックハート先生からの説明が入る。
「三つ数えて、最初の術をかけます。もちろん、どちらも相手を殺すつもりはありません」
セブルスが歯を剥き出しているのを見ると、そうでもないように見えるが。
「1......2......3......」
二人とも杖を肩より高く振り上げる。
「"エクスペリアームス(武器よ去れ)"!」
ロックハート先生より先にセブルスが叫ぶ。目も眩むような紅の閃光が走ったかと思うと、ロックハート先生は舞台から吹っ飛び後ろ向きに宙を飛び壁に激突し、壁伝いにズルズルと滑り落ちて床に大の字になってしまった。ドラコや数人のスリザリン生が歓声をあげる。
『ふふ...ふ』
「隠せてないよ〜ユウミ」
あまりの姿に隠して笑ったつもりがエイミーに指摘された。
『あの姿で笑わないなんて出来ないわ』
「私もそう思う」
開き直って答えた私にミアはそう言い、クレアとエイミーも頷く。3人共同じ気持ちだったみたいだ。フラフラしながらも立ち上がったロックハート先生は帽子が吹っ飛び、波打った髪の毛が逆立っていた。
「さあ、みんなわかったでしょうね!」
よろめきながら舞台に戻ったロックハート先生はそう言った。