第34章 魔法薬学
木曜の午後、魔法薬学の授業は、大きな地下牢の一つで行なわれるため私達はそこにいた。今日の時間に何かをすることは聞いたが、何をするかは知らない。なぜなら、セブルスと仲のいい私が動揺したりしてしまうと、問い詰められる可能性があるからだ。そのため私からハリー達に告げて教えてもらっていない。今日の授業も普段通り進んでおり、私達はふくれ薬を作っている。
『ん〜...』
少し悩みながらも無事に出来上がりつつあった。スネイプ先生は、湯気の中をグリフィンドール生の作業に意地の悪い批評をしながら歩き廻っている。それをスリザリン生が聞いて嘲笑っていた。スネイプ先生のお気に入りであるドラコは、ロンとハリーにふぐの目玉を投げつけている。
授業中にドラコがこんなことをしているのは、ハリーとロンが仕返しをしようものなら抗議する隙も与えず、二人が処罰を受けると知っているからだろう。スネイプ先生はハリーの薬が薄過ぎると嘲笑ったが、ハリーは耳に全く入ってないようである。私が隣のエイミーを見て教えようとハリー達から目を離したその時。
「「「キャァアア」」」
大きな爆発音と共に大量のふくれ薬が教室中に降り注いだ。間一髪、机に隠れた私とエイミーは無事であった。しかしドラコは、顔いっぱいに薬を浴びて鼻が風船のように膨れはじめており、ゴイルは大皿のように大きくなった目を両手で覆いながら右往左往していた。
「静まれ!静まらんか!」
そんな大騒ぎのなか、スネイプ先生が怒鳴る。
「薬を浴びた者は'縮み薬'をやるからここへ来なさい。誰の仕業か判明したときには...」
ドラコは急いで進み出て、生徒の半分くらいが重い身体を動かすようにしてスネイプ先生の机の前に進んで行った。そのなかに、クレアとミアの姿はなかったので二人も無事みたいだ。みんなが解毒剤を飲みいろいろな'ふくれ'がおさまったとき、スネイプ先生はゴイルの大鍋の底から黒こげの縮れた花火の燃えかすをすくい上げた。それを見たみんなは沈黙する。
「これを投げ入れた者が誰か判明したときには、我輩が間違いなく退学にさせてやる」
スネイプ先生は低い声で言い、ハリーの顔を真っ直ぐ見据えている。
「スネイプ先生〜ハリーのこと〜みてなかった〜?」
授業終了の鐘が鳴り、教室を出たエイミーが言ったことに私達は頷く。まぁ、実際ハリーが犯人なのだが。