第33章 真夜中のお客様
しかしダンブルドア先生はそれに何も言わずに、カメラの裏蓋をこじ開けた。
「なんてことでしょう!」
マダム・ポンフリーが声をあげる。それもそのはず、シューッと音を立てて、カメラから蒸気が噴き出したのだから。私達のところにまで、焼けたプラスチックの臭いが漂ってきた。
「溶けてる、全部溶けてる...」
マダム・ポンフリーが不思議そうな顔をしている。
「アルバス、これはどういう意味なのでしょう?」
ミネルバが急き込んで尋ねた。
「その意味は、'秘密の部屋'が再び開かれたということじゃ」
ダンブルドア先生の言葉にマダム・ポンフリーは手で口を覆い、ミネルバはダンブルドア先生をじっと見つめている。
「でも、アルバス...いったい...誰が?」
「誰がという問題ではないのじゃ。問題は、どうやってじゃよ」
ダンブルドア先生はコリンに目を向けたまま、そう答えた。薄明りの中で見えるミネルバでさえ、ダンブルドア先生の言ったことがわからないようだった。おそらくこの時点でダンブルドア先生には犯人がわかっていたのかもしれない。
「ねぇ、ユウミ?」
先生達もみんながいなくなって、ベッドに腰かけたハリーが私に話しかける。
『なにかしら?』
「君は...どういうことかわかる?」
『いいえ』
私はハリーの言葉に首を振る。
『ハリー、私も聞きたいことがあるのだけど』
「もしかして、これのこと?」
ハリーは自分の腕を私に見せるので頷く。溜め息をついたハリーが言ったことをまとめるとこうだ。あの後痛みを我慢しながら医務室まで歩いていると、激痛がはしり休んでいるところにロックハート先生が来てしまったらしい。そこからは前世の記憶通りのことが起こったみたいだ。
『ごめんなさい...私の引き付けが甘かったわ』
「そんなことないよ!助けてくれて嬉しかったよ」
にっこり笑ってくれたハリーに私も微笑み返す。
「それにしても大丈夫なの?これからあいつに付きまとわれたりしない?」
『大丈夫よ。頼もしい味方がついているから』
心配そうなハリーを安心させるように笑った。頼もしい味方とはもちろん私のナイトの二人のことである。そこからハリーと少し話をしてから、それぞれベッドに戻り眠りについた。