第33章 真夜中のお客様
私とハリーにもドビーがなぜそうなったのかはすぐにわかった。外の廊下をこちらに向かって来る足音がしてきたからだ。
「ドビーは行かなければ!」
ドビーは恐怖に脅えながら呟く。パチッと大きな音がした途端、ドビーは見えなくなっていた。
「ユウミ、早く隠れないと!」
『お邪魔するわね』
ハリーのベッドに近づいていた私は、戻る時間はないと思いハリーのベッドに潜り込む。
「ちょっ、ユウミ?!」
『しーっ』
ハリーが戸惑ったような声をあげるが、静かにさせる。私達は、医務室の暗い入り口に集中する。足音がだんだん近づき、ダンブルドア先生が後ろ向きで入って来た。石像のような物体の片端を持って運んでいるようだ。そのすぐあと、ミネルバが石像の足のほうを持って現れる。二人はそれをベッドに降ろした。
「マダム・ポンフリーを」
ダンブルドア先生の呟きに、ミネルバがこちらに来たため私達は急いで寝たふりをする。慌ただしい声が聞こえてきたかと思うと、ミネルバが姿を現し、そのすぐあとにマダム・ポンフリーがついていく。
「何があったのですか?」
息を呑むような音が聞こえた後、マダム・ポンフリーの声が聞こえてきた。ベッドに置かれた石像の上に屈み込んで、マダム・ポンフリーが囁くようにダンブルドア先生に尋ねる。
「また襲われたのじゃ。ミネルバが、この子を階段のところで見つけてのう」
「この子の傍に、葡萄が一房落ちていました。たぶんこの子は、こっそりポッターのお見舞いに来ようとしたのでしょう」
ハリーはわずかに身体を起こし、石像の乗ったベッドを見ようとしたので私も同じようにする。月明かりに照らされたそこにいたのは、コリン・クリービーだった。目を大きく見開き、手を前に突き出してカメラを持っている。
「石になったのですか?」
マダム・ポンフリーの囁きにミネルバが答える。
「そうです。考えただけでもゾッとします...。アルバスがココアを飲みたくなって階段を降りていらっしゃらなかったら、いったいどうなっていたかと思うと...」
3人はコリンをじっと見下ろしていたが、ダンブルドア先生は少し前屈みになってコリンの指をこじ開けるようにして、握りしめているカメラを外した。
「この子が、襲った者の写真を撮っているとお思いですか?」
ミネルバは熱心に言う。