第4章 ダイアゴン横丁
私が支度をして下に降りるとそこにはもうお父さまもお母さまもいたから、慌てて駆け寄ろうとする。
「そんなに急がなくても大丈夫だよ。ゆっくり来なさい」
すると、見透かされたように言われたので、お父さまの言う通りに気持ち早歩きで近寄った。
『お待たせ、お父さま、お母さま』
「そんなに待ってないわ、大丈夫よ。さて、今日はフルーパウダーを使うわ。そうよね、ルイス?」
お母さまは確認するようにお父さまに向けて言ったが、目の前に暖炉があることを踏まえて、なんとなく想像はついていたのだった。
「そうだよ。ユウミは使ったことあるけど、大丈夫かい?」
私が付き添い姿あらわしだと体調を崩すことがわかってから、出掛けるときはフルーパウダーを使っていたから慣れたものである。
『もちろん、大丈夫よ?』
笑いながら答えると、二人は私に微笑みかけて、お母さまが先に暖炉の前に行った。
「先に私から行くわ。そのあとにユウミが来なさい。いいわよね、ルイス?」
「そうだね、そうしよう」
二人は話し合いをして、私が頷いたのを確認するとお母さまは暖炉の中に入り、粉を投げて緑色になるのを確認してから叫んだ。
「ダイアゴン横丁!」
お母さまは炎に包まれて姿を消す。
「次はユウミの番だよ、大丈夫かい?」
『もう、お父さまは心配性ね?大丈夫よ』
心配そうにこちらを見るお父さまを安心させるように笑うと、私もフルーパウダーを投げて炎の中に入った。
『ダイアゴン横丁!』
そして、私も緑の炎に包まれた。私は体への衝撃に耐えられず、そのまま飛び出ると柔らかくて暖かいものに包まれた。パッと顔をあげるとそこにはお母さまがいて、私をしっかりと抱き締めてくれていた。
「ユウミはいつになっても着地が上手くいかないわね」
おかしそうにクスクス笑うお母さまにムッとしたが、本当のことなので言い返せなかった。そのあと、すぐにお父さまが出て来て行こうと思ったが、お父さまとお母さまは漏れ鍋にいた人たちに話しかけられていた。なので端により、ボーっとしていた。
「ユウミ、お待たせ、行くよ」
しばらくすると、お父さまがそう声をかけてくれたので、近より漏れ鍋をでて奥に行った。