第33章 真夜中のお客様
私はゆっくりと目を開ける。
『...そっか、医務室だ』
自分の状況を思い出しそっと起き上がると、どこからか声が聞こえてきた。
「ドビーめが、ハリー・ポッターに何度もなんども警告したのに。ああ、なぜあなた様はドビーの申し上げたことをお聞き入れにならなかったのですか?列車に乗り遅れたとき、なぜにお戻りにならなかったのですか?」
「なぜここに来たんだい?それに、どうして僕が列車に乗り遅れたことを知ってるの?」
ハリーから聞いたのと前世の記憶で知っているドビーの声と、なぜかハリーの声がする。ロックハート先生の件を阻止したからここにハリーはいないものだと思っていた。
「あれは、君だったのか!僕達があの壁を通れないようにしたのは君だったんだ!」
「そのとおりでございます。ドビーめは、隠れてハリー・ポッターを待ち構えておりました。そして、入口を塞ぎました。ですから、ドビーは後で自分の手にアイロンをかけなければなりませんでした」
そこでドビーの声は途切れる。確か、包帯を巻いた手をハリーに見せていたはずだ。
「でも、ドビーはそんなことは気にしませんでした。これでハリー・ポッターは安全だと思ったからです。ハリー・ポッターが別の方法で学校へ行くなんて、ドビーめは夢にも思いませんでした!ドビーめは、ハリー・ポッターがホグワーツに戻ったと聞いたとき、あんまり驚いたので、ご主人様の夕食を焦がしてしまったのです!あんなにひどく鞭打たれたのは、はじめてでございました」
私は顔をしかめる。でも、あと約一年すればドビーは自由になれるのだ。その間にも話は続いていく。
「君のせいで、ロンも僕も退校処分になるところだったんだ。ドビー、僕の骨が生えてこないうちに、とっとと出て行ったほうがいい。そうじゃないと、君を締め殺してしまうかもしれない」
ハリーは声を荒げる。
「ドビーめは殺すという脅しには慣れっこでございます。お屋敷では1日5回も脅されます」
ドビーの鼻をかむ音が聞こえてきた。
「ドビー、どうしてそんな物を着ているの?」
ハリーはドビーのことを許したのかそんなことを問いかけている。でもこのくだりは大事なところだ。この話を聞いてなければ、ハリーはあんなこと思いつかなかっただろうから。
「これのことでございますか?」
確認を取ったドビーにおそらく頷いたハリーに答える。