第32章 狂ったブラッジャー
ジョージの言葉に驚く。
『冗談でしょう?』
「「本当さ!」」
二人は声を揃えて言った。
『わ、私は大丈夫よ!医務室は嫌!』
「「だめだよ、ユウミ」」
抵抗もむなしくそのまま医務室へと連れていかれた。
「またあなたですか!あらまぁ、顔が赤いじゃない!あなたこの子をここに寝かせて」
私の顔を見るなりマダム・ポンフリーは、きびきびと指示をだす。心配そうに私を見つめるフレッドとジョージ。
『大丈夫よ、そんなに心配しないで』
安心させるように二人に微笑む。戻ってきたマダム・ポンフリーは、私に向かってこう言った。
「今は、お薬は切らしています。スネイプ先生が持ってきてくれるまでそこで寝ていなさい」
『わかりました』
二人は衝撃をうけたような顔をしている。
『どうしたの?』
「スネイプだって?!」
「ユウミ、大丈夫なの?!」
『大丈夫に決まってるじゃない』
おかしくてクスクス笑うとそんな私を変な顔で見つめるフレッドとジョージ。
「あの、スネイプだよ?!」
『スネイプ先生の薬なら効果抜群よ』
「「そうじゃないよ!」」
「あなたたち!マーレイは病人です!」
二人は騒がしかったらしく、マダム・ポンフリーは二人を追い出してしまう。大人しく寝転がっていると、しばらくして医務室に誰かが入ってくる音がした。足音が私のベッドに近づいてくる。
「ユウミ、入るぞ」
その声と共に入ってきたのはセブルスだ。
『セブルス!』
「飲みたまえ」
セブルスはずいっと私に薬を差し出す。なんとも苦そうな薬だ。
『苦そうね』
「当たり前であろう。これは薬だ」
ためらっているとセブルスは溜め息をつく。呆れられたのかと思って顔をあげるとそうではないようだ。
「苦くはない。だから飲みなさい」
セブルスの思わぬ発言を不思議に思いながらも、おそるおそる一口飲むと確かに苦くはない。
『この味...』
私は驚いてセブルスを見る。
『私が熱を出したときによく飲んでいた味だわ。甘くて飲みやすい...』
「君が飲んでいたのは、私が調合した薬だ」
『え?!』
懐かしい味に思わずそう呟くと、セブルスは予想外なことを言った。
「ルイスがあまりにも心配するので、私が作っていたのだ」
『そうだったのね、知らなかったわ』