第32章 狂ったブラッジャー
そのウッドは勝ったのが嬉しいのか、ニコニコ顔を隠せないでいた。
「ハリー、大きな収穫だ。素晴らしいの一言だ。君の自己ベストだ。うん」
フレッドとジョージはまだ狂暴なブラッジャーを箱に押し込めようと格闘している。
「みんな、下がって」
ロックハート先生が腕をたくしあげたところで、私はついにハリー達のもとへ来ることが出来た。
「やめて...駄目...」
ハリーの弱々しい声を聞いて私は叫んだ。
『ハァハァ、ロックハート先生!!』
私の大声に驚いたのかみんなが振り向きロックハート先生もこちらを見る。
「これはこれは!Ms.マーレイですね!どうかしましたか?」
『ハリーより先に私を見てください!体が辛くてどうしようもないんです。頼れるのはロックハート先生だけなんです!』
自分の心に叱咤してそう言いきる。すると、ロックハート先生は目を輝かしてこちらにきた。
「Ms.マーレイがそんなにも私を慕ってくれていたとは知りませんでした!さぁさぁ、私に見せてみなさい!」
私はその隙に、ロンに合図をする。それをわかってくれたのかハリーを連れて消えていった。そして、ロックハート先生を呼び寄せたのはいいがここから先の事を考えずに困ってしまう。そんな私の元へ、救世主が現れる。
「これはこれは!」
「僕達というナイトがいながら!」
「「僕達では、いけませんか?!」」
そう言いながら私の元へ来たのは、フレッドとジョージだ。二人は私にパチっとウインクをする。
『あら、忘れていたわ!ごめんなさい、ロックハート先生、私にはナイトのお二人がいました!』
私が言ったのを合図に、ジョージによってお姫様抱っこをされそこを後にした。呆気に取られているロックハート先生と生徒達を残して。
『ありがとう、二人とも!ジョージ重いわよね、もう降ろして平気よ?』
ロックハート先生が見えなくなったところで、二人に声をかけるが二人ともスルーだ。
『...フレッド?...ジョージ?』
「残念ながら降ろすことは出来ないね、なぁフレッド?」
「その通り!このまま大人しくしてることだね」
なにやら怒っているような二人に首を傾げる。
『体が辛いってのは嘘だから大丈夫よ?』
「はぁ。ユウミ、君熱いよ。顔も赤いし、熱出てるんじゃないかい?」
『え?!』