第32章 狂ったブラッジャー
2人は元気になったみたいだ。ハリーもチラッと見ると、目があってにっこり笑ってくれた。どうやら大丈夫みたい。そのあといつもの調子に戻ったフレッドとジョージによって他のグリフィンドールの選手も、いつもの調子を取り戻したみたいだ。
「暑いわね!」
『本当ね。蒸し暑いわ』
11時が近づき、私はクレア達と共にクィディッチ競技場に向かっている。私達は空いているところに入り、選手達が入場してくるのを待っていた。グリフィンドールの選手がグラウンドに入場すると、ワーッというどよめきが起こった。ほとんどが声援だ。私達もハリー達に向かって声援を送る。
レイブンクローとハッフルパフはスリザリンが負けるところを見たくてたまらないらしく観にきているらしい。声援が多いが、それでもその中から、スリザリン生のブーイングや野次もしっかり聞こえてくる。フーチ先生が、フリントとウッドに握手するよう指示をした。2人は握手をするが互いに威嚇するように睨み合い、必要以上に固く相手の手を握り締めている。
「ドキドキするわ!」
『本当ね』
私はクレアの言葉に頷く。
「笛が鳴ったら開始」
マダム・フーチが合図をする。
「3...2...1...」
観客のワーッという声に煽られるように、14人の選手が高々と飛び上がった。その中でハリーは誰よりも高く舞い上がり、スニッチを探しているのか目を凝らしいるように見える。ドラコがハリーに近づいて、何やらちょっかいをかけているみたいだ。
『もう、ドラコは...仕方ないわね...』
その時、ブラッジャーがハリーめがけて突進していくのが見えた。ハリーは間一髪でかわしたが、ハリーのすぐ近くをかすめた。
『危ないわ!』
「大丈夫みたいよ」
そこからのブラッジャーの動きはおかしかった。フレッドとジョージがいくら打ち返してもそのブラッジャーはハリーを執拗に追いかけるのだ。しばらくして雨が降りだしてくる。
「ユウミ、大丈夫なの?」
『えぇ、大丈夫よ』
雨に濡れている私を見て、ミアが心配そうに声をかけてくるが笑顔を返した。
「スリザリン、リードです。六〇対○」
解説者のリー・ジョーダンの声が聴こえてくる。
「負けてるわ...」
「大丈夫かしら」
クレアとミアの会話を聞きながら、私はハリーを探す。しかし、フーチ先生のホイッスルが鳴り響いた。