第32章 狂ったブラッジャー
ハーマイオニーは、音を立てて本を閉じる。
「そう、怖じ気づいてやめるって言うなら結構よ。私は規則を破りたくはない。わかってるでしょう。だけどマグル生まれの者を脅迫するなんて、ややこしい魔法薬を密造することよりずーっと悪いことだと思うの。でも、2人がマルフォイがやってるのかどうか知りたくないっていうのなら、これから真っ直ぐマダム・ピンスのところへ行ってこの本を返してくるわ」
「僕達に規則を破れって、君が説教する日が来るとは思わなかったぜ。わかった、やるよ。だけど、足の爪だけは勘弁してくれ。いいかい?」
ハーマイオニーの言葉にロンはそう言った。ハーマイオニーが機嫌を直してまた本を開いたところで、ハリーが尋ねる。
「でも、作るのにどのくらいかかるの?」
「そうね。満月草は満月のときに摘まなきゃならないし、クサカゲロウは二十一日間煎じる必要があるから...。そう、材料が全部手に入ればだいたい1ヶ月で出来上がると思うわ」
「1ヶ月も?マルフォイは、その間に学校中のマグル生まれの半分を襲ってしまうよ!」
ロンはそう叫んだ。しかし、ハーマイオニーの目がまた吊り上がって険悪になってきたので、ロンは慌てて付け加えた。
「でも、今のところそれが最良の計画だな。全力で取り掛かろう」
「ユウミ、手伝ってもらえるかしら?私だけじゃ不安なの」
そろそろ行こうとなったときに、私はハーマイオニーにそう頼まれる。
『えぇ、もちろん。でもハーマイオニーならハーマイオニーだけでも作れると思うわ』
ハーマイオニーは頬を赤くそめた。私とハーマイオニーで、外に誰もいないことを確認しているときロンがハリーに囁いているのが聞こえる。
「明日、君がマルフォイを箒から叩き落とせばずっと手間が省けるぜ」
土曜日の朝、早めに大広間に来た私はグリフィンドールチームの選手達がみんな緊張した面持ちでいるのを見つけた。
『ハリー,フレッド,ジョージ、おはよう』
3人は、やはり緊張した顔で挨拶を返してくれる。
『ねぇ、3人共。私思うの。大切なのは箒がスゴいとかじゃなくて、クィディッチを楽しんだり,その箒にどれだけ上手く乗れるかだとね。私はそれはグリフィンドールが1番だと思ってたんだけど違うのかしら?』
「「ユウミ!!」」
フレッドとジョージは目をキラキラさせて私に抱きつく。