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愛される少女【HP】

第32章 狂ったブラッジャー


声をかけると、すぐにこちらに飛んできてくれたマートル。

『私、私の友達と一緒にここでやりたいことがあるの。...貸してもらってもいいかしら?』

「いいわよ。でもお友達に私のことを悪く言わないように言ってちょうだい」

『ありがとう、マートル』

私がマートルに、にっこり笑いかけると照れたのか頬を赤く染め、そっぽを向くと奥の小部屋に閉じこもってしまった。

『ハリー,ロン,ハーマイオニー、入って大丈夫よ』

私が3人に声をかけると、すぐに入ってくる。

「何をしていたの?」

『マートルと少し話してたの』

3人は驚いたように目を見開く。そして私達は'故障中'と書かれたトイレに再び立て籠もった。ハーマイオニーが、'最も強力な魔法薬'の本を大事そうに開き、私達3人は覆い被さるようにして覗き込んだ。

チラっと見ただけでなぜこの本が、禁書の棚にあったのかは明白だった。身の毛もよだつような結果をもたらす魔法薬がいくつかあり、気持ちが悪くなるような挿絵も描かれていたからである。

「あったわ」

ハーマイオニーが興奮した顔で'ポリジュース薬'という題の付いたページを指差した。

「こんなに複雑な魔法薬は、はじめてお目に掛かるわ」

ハーマイオニーは続けてこう言った。

「クサカゲロウ,ヒル,満月草にニワヤナギ。うん、こんなのは簡単ね。生徒用の材料棚にあるから、自分で勝手に取れるわ。でも、見てよ。'バイコーン(二角獣)の角の粉末'これ、どこで手に入れたらいいかわからないわ。'毒ツルヘビの皮の千切り'これも難しいわね。それに、当然だけど変身したい相手の一部」

「なんだって?」

ロンがすぐに反応して、鋭く言った。

「どういう意味?変身したい相手の一部って。僕、クラッブの足の爪なんか入ってたら絶対飲まないからね」

ハーマイオニーはロンの声が聞こえなかったかのように、話し続けた。

「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に入れればいいんだから」

ロンは絶句してハリーのほうを見たが、ハリーは別なことを心配していた。

「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗まなきゃならないかわかってる?毒ツルヘビの皮の千切りなんて、生徒用の棚には絶対にあるはずないし。どうするの?スネイプ先生の個人用の保管倉庫に盗みに入るの?うまくいかないような気がする...」

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