第31章 疑い
「何をやらなければならないかと言うとね、私たちがスリザリンの談話室に入り込んで、マルフォイに正体を気づかれずに、いくつかの質問をすることなのよ」
「だけど、不可能だよ」
ハリーはそう言い、ロンは笑い出す。
「いいえ、そんなことないわ。'ポリジュース薬'が少し必要なだけよ」
「「それ、なに?」」
ハリーとロンは同時に言った。
「数週間前、スネイプ先生が授業で話してたでしょ」
ハーマイオニーの言葉にロンがこう言い、ハリーとロンはこちらを見る。
「'魔法薬学'の授業中に僕達、スネイプの話を聞いてると思ってるの?もっとましなことをやってるよ」
『えっと...確かに、スネイプ先生話してたわ』
私の言葉にがっかりしたようなハリーとロン。私も知らなかったらハーマイオニーが呆れてるのをなんとか出来ると思ったのだろう。
「自分以外の誰かに変身できる薬なのよ。考えてみてよ!私達で、スリザリンの誰かに変身するの。誰も私たちの正体を知らない。マルフォイはたぶん、なんでも話してくれるわ。今ごろスリザリン寮の談話室で、マルフォイがその自慢話の真っ最中かもしれない。それさえ聞くことができれば」
ドラコの自慢話をしている様子は、容易に想像できた。
「その'ポリジュース'なんとかって、少し危なっかしいな。もし、元に戻れなくて永久にスリザリンの誰かの姿のままだったらどうする?」
顔をしかめてそう言ったロン。
「しばらくすると効き目は切れるの。それよりも材料を手に入れることのほうがとっても難しいわ。'最も強力な薬'という本にそれが書いてあるって、スネイプ先生がそう言ってたわ。その本、きっと図書館の'禁書'の棚にあるはずだわ」
ハーマイオニーは難しい顔をした。
『'禁書'の棚の本を持ち出すには、先生の署名入りの許可証が必要ね。でも...』
「薬を作るつもりはないけど、そんな本が読みたいって言ったらそりゃ変だって思われるだろう?」
私の言葉に続いてロンがそう言った。
「そうね。でも、理論的な興味だけなんだって思い込ませればもしかしたらうまくいくかも...」
「ああ、そんなこと、先生だってそんなに甘くないぜ。騙されるとしたらよっぽど鈍い先生だな」
ハーマイオニーの提案に、そう言ったロン。しかし、それを聞いた私はハリーとロンとハッとして顔を見合わせた。