第31章 疑い
「スクイブやマグル出身の子を、ホグワーツから追い出したいと願ってるのは誰?」
続けてそう言ったハーマイオニー。
「それでは考えてみましょう。我々の知っている人の中で、マグル生まれは屑だと思っている人物は誰でしょう?」
ロンがハーマイオニーを見ると、ハーマイオニーはまさか、という顔でロンを見返した。
「もしかしてあなた、マルフォイのことを言ってるの...」
「もちろん、そのとおり!あいつが言ったこと聞いたろう?'次はおまえたちだぞ、穢れた血め!'って」
「マルフォイが、スリザリンの継承者?」
ハーマイオニーは疑わしいという顔つきをする。それには私も同意だ。前世の記憶云々よりも、ドラコにそんなことが出来るとは思えない。
「あいつの家族を見るんだ。あいつの家系は全部スリザリン出身だ。あいついつもそれを自慢してる。あいつらなら、スリザリンの末裔だっておかしくはない。あいつの父親もどこから見ても邪悪だよ」
ハリーも教科書を閉じる。
「あいつらなら、何世紀も'秘密の部屋'の鍵を預かっていたかもしれない。親から子へ代々伝えて...」
ハリーに続いてロンもそう言った。
「ユウミはどう思う?マルフォイと仲いいわよね?」
『えぇ。私は、ドラコではないと思うわ』
私がそう言うと、ハリーとロンは不満そうな顔をする。
『その...ドラコって強がっているけど、臆病だからあんなこと出来ると思わないもの。でも可能性としては、否定できないっていうのも事実よ』
ハリーとロンは、私の意見に納得したようなしてないような曖昧な表情だ。
「そうね、私もユウミの言うとおりだと思うわ」
ハーマイオニーは納得したようだ。
「でも、どうやって証明する?」
ハリーは顔を曇らせる。
「方法がないことはないわ」
ハーマイオニーはそこまで言うと、声をさらに小さくしてパーシーを盗み見ながらこう言った。
「もちろん、難しいわ。それに危険だわ、とっても。学校の規則をざっと五十は破ることになるわね」
「あと1、2ヵ月くらいして、もし君が説明してもいいという気持ちになることがあれば、そのときに僕たちに知らせてくれるんだろう?」
「そうするわ」
イライラしていてそう言ったロン。ハーマイオニーもそれに冷たく返す。そんな2人を見た私とハリーは顔を見合わせて苦笑いをした。