第30章 伝説
「でも、ビンズ先生。そこを開けるのには、闇の魔術を使わないといけないのでは?」
「ミス・ペニーフェザー、闇の魔術を使わないからといって、対応できないということにはならない」
ビンズ先生はバーバティの言葉に言い返した。そして言葉を続ける。
「繰り返しではありますが、もしダンブルドアのような方が...」
「でも、スリザリンと継がっていないといけないのでは。ですから、ダンブルドアは...」
またもやビンズ先生の声を遮り、ディーンがそう言いかけたところでビンズ先生は強制的に話を終わらせた。
「以上、おしまいです。これは作り話であります!'部屋'は存在しません!スリザリンが'部屋'を作った形跡はないのであります!よろしければ歴史に戻ることにする。実態のある、信ずるに足る検証できる事実であるところの歴史に!」
ビンズ先生が授業を再開して五分もしないうちに、みんなはいつもの状態に戻った。授業が終わり、夕食前に寮にカバンを置きに行く生徒で廊下はごった返していた。
『クレア?ミア?エイミー?』
どうやら私は3人とこの人混みではぐれてしまったらしい。ふと顔をあげると前にはハリー達3人の姿がみえた。声をかけようと人混みを縫い近づくとロンの声が聞こえてくる。
「サラザール・スリザリンって、狂った変人だってことそれは知ってたさ」
どうやらハリーとハーマイオニーに話しかけているみたいだ。
「でも、知らなかったなあ。例の純血主義のなんのってスリザリンが言い出したなんて。僕ならお金を貰ったってそんなやつの寮に入るもんか。はっきり言って'組分け帽子'がもし僕をスリザリンに入れてたら、僕、列車に飛び乗って真っ直ぐ家に帰ってたな」
ハーマイオニーも強く頷いた。しかしハリーは何も言わない。
『ロン、悪いけど。スリザリンをそんなに悪く言うものじゃないわ。スリザリンにだっていいところはあるのよ』
「「「ユウミ!!」」」
やっと追い付いた私がそう言うと、3人は振り向いて驚いた顔をしている。ロンが反論しようとしたその時、誰かのお腹がなった。
『もう、ロンったら』
私と、ハリー,ハーマイオニーは顔を見合わせて笑いだす。ロンは顔が真っ赤だ。私がロンにそう言った理由は多々あるが一番は、組分け帽子がハリーをスリザリンに入れることを本気で考えたということを知っていたからだ。