第30章 伝説
それから数日、ホグワーツではミセス・ノリスの襲われた話でもちきりになった。犯人が現場に戻ると考えたのか、フィルチはミセス・ノリスが襲われた場所をいったりきたりしているみたいだ。
さらには、生徒に言い掛かりをつけて処罰に持ち込もうとしたのだった。ジニーはこの一件でひどく心を乱されたみたいだ。ロンの話ではジニーは無類の猫好きらしい。そんなジニーを励まそうとして言ったロンの冗談は、逆にジニーを真っ青にさせてしまった。
「ユウミ」
『セドリック!久しぶりね』
私は今図書館に来ている。そこで会ったのはセドリックだった。夏に手紙のやりとりをしていたが、会ったのは久しぶりだ。
「うん、久しぶり。新学期はどう?」
『そうね、課題が相変わらず大変よ。セドリックは?』
「僕もだよ」
私とセドリックは近くの席に座り、マダム・ピンスに怒られないくらいの小さな声で談笑をした。
『セドリック、またお話しましょうね』
「うん、もちろんだよ」
そろそろ授業に向かおうという話となりそこでセドリックとは別れた。次は魔法史の授業だ。教室につき、クレア達を探してきょろきょろしていると私の名前を呼ばれる。
「ユウミ!」
そちらの方を見るとそこにはクレアとエイミーがいた。
『ありがとう。ミアは?』
開けていてくれた席に座り、ここにいないミアのことを尋ねる。
「ミアは手紙出しに行くって」
授業が始まるギリギリの時間にミアが来た。
『大丈夫?』
「え...えぇ...だ、大丈夫...よ」
あまりにも息をきらしているので、問いかけるとそう返事が返ってくる。しばらくして黒板を通り抜けて、ビンズ先生が現れた。ビンズ先生はある日、立ち上がって授業に出向くとき、生身の身体を教員室の暖炉の前の肱掛椅子にそのまま置き忘れて来たらしい。それでゴーストになってしまったわけである。
いつものように眠くなる授業が始まる。しかし、今日はいつもと違うことが起きた。30分くらい経ったころにハーマイオニーが手を挙げたのだ。ビンズ先生はそれを驚いたように見つめる。
「ミス...あー?」
「グレンジャーです、先生。'秘密の部屋'について何か教えていただけませんか」
名前がわからなかったのか詰まったビンズ先生に、ハーマイオニーはそう言った。それを聞いてみんな眠気が吹っ飛んだみたいだ。