第29章 初めてのハロウィーン
「それに、'スクイブ'っていったい何?」
ハリーが続けて疑問を投げ掛けた。すると何がおかしいのかロンは笑いをこらえきれずにクスクスと笑っている。私が肘でロンをつつくとロンは笑うのを我慢してこう言った。
「あのね、本当はおかしいことじゃないんだけど。でも、それがフィルチだったもんで。'スクイブ'っていうのは、魔法使いの家に生まれたのに魔力を持ってない人のことなんだ。マグルの家に生まれた魔法使いの逆かな。でも、スクイブって滅多に居ないけどね」
ロンはそこで一旦言葉を切り、さらに続ける。
「もし、フィルチがクイックスペルで魔法の勉強をしようとしてるなら、きっとスクイブだと思うな」
クイックスペルというのは、'初心者のための魔法通信講座'だ。それをフィルチが取り寄せているのをハリーが見てしまったのだろう。
「これでいろんな謎が解けた。例えば、どうしてあいつが生徒たちをあんなに憎んでいるか。妬ましいんだ」
ロンがそこまで言うと鐘がなった。
「午前0時だ。早くベッドに行かなきゃ。スネイプがやって来て、別なことでぼくたちを落とし入れないうちにね」
ハリーの言葉を合図に私達は寮に戻ることにした。その帰り道私はハリーに話しかける。
『ねぇ、ハリー?』
「どうしたの、ユウミ」
『私、途中からきたからわからないんだけどどんな声が聞こえたの?』
私はここで聞いておかないと、困ると思って聞くと、ハリーはこの声のことを聞いたときのことを説明してくれた。
『そうだったのね。話してくれてありがとう』
「...君も信じてくれる?」
『もちろんよ。ハリーは私の大切なお友達だもの』
にっこり笑って言うと、ハリーは安心したように微笑んだ。そこからは、絶命日パーティーでのことを話してくれた。
『あ...どうしましょう』
「どうしたの?」
ハーマイオニーが首を傾げて聞いてくれる。
『その...これ忘れてたわ』
私が見せたのはパーティーでのごちそうだった。その瞬間、グーと誰かのお腹の音がなる。顔を真っ赤にしている人がいるのでその人だろう。ロンである。
『ロンもハリーもハーマイオニーも談話室で食べる?保温の魔法をかけたから大丈夫よ』
3人はそれを聞いて喜んでくれた。そういうわけで私...というか3人は談話室で少しごちそうを摘まんでからベッドに戻った。