第29章 初めてのハロウィーン
『私がハリー達に、ハロウィーンパーティーで出たごちそうを持っていくと言ったからだと思います』
セブルスはハリー達の代わりに私が答えたのを聞いて少し顔をしかめる。ハリー達はというと私に同意するように頷いた。
「疑わしきは罰せずじゃよ、セブルス」
ダンブルドア先生が結論を出す。しかしそれに異を唱えるものがいた。
「私の猫が石にされたんだ!刑罰を受けさせなけりゃ収まらん!!」
「アーガス、君の猫は治してあげられますぞ。スプラウト先生が最近やっと苦労してマンドレイクを手に入れられてな。十分に成長したらすぐにミセス・ノリスを蘇生させられる薬を作らせましょうぞ」
もちろんフィルチである。しかしそんなフィルチを宥めるようにダンブルドア先生はそう言った。
「私がそれをお作りしましょう。私は何百回作ったかわからないくらいですよ。眠ってたって作れます」
突然、ロックハート先生が口を挟む。それにセブルスが冷たい口調で答えた。
「お伺いしますがね。この学校では我輩が魔法薬の担当教授のはずだが」
とても気まずい沈黙が流れる。その沈黙を破ったダンブルドア先生によって私達は寮に戻れることになった。私達は走るその一歩手前くらいの早足で、できるかぎり急いでその場を立ち去る。そしてロックハート先生の部屋の上の階まで上がり誰も居ない教室に入ると、そっとドアを閉めた。暗くて3人の顔はよく見えない。
「あの声のこと僕みんなに話したほうがよかったと思う?」
「いや、誰にも聞こえない声が聞こえるのは、魔法界でも狂気のはじまりだって思われてる」
ハリーが尋ね、それをロンがきっぱりと否定した。
「君は、僕のことを信じてくれてるよね?」
「もちろん、信じてるさ」
ロンの言葉が引っ掛かったのかハリーはそう聞く。ロンはそれを急いで肯定した。しかし続けてこう言った。
「だけど、君も薄気味悪いって思うだろ?」
「確かに薄気味悪いよ」
ハリーはそれに納得したように頷く。
「壁になんて書いてあった?'部屋は開かれたり'これ、どういう意味なんだろう?」
ハリーの問いにハーマイオニーとロンは考え込む。私は答えを知っているが言うべきではないとわかっているので私も考えているフリをした。
「ちょっと待って、なんだか思いあたることがあるんだ」
ロンがそう言ったが、結局思い付かなかった。