第29章 初めてのハロウィーン
両側から集まってきた生徒により、真ん中にハリー,ロン,ハーマイオニー、そして私が取り残される。ざわざわしている人を掻き分けてドラコが前に出てきた。両隣りにクラッブとゴイルを従えているドラコはニヤリと笑って叫ぶ。
「'継承者の敵よ、気をつけよ'!次はお前達の番だぞ、'穢れた血'め!」
『ドラコ!』
またその言葉を言ったドラコの名前を大声で呼ぶと、私のことが見えなかったのか目が合うなり罰が悪そうな顔をした。
「なんだ、なんだ?何事だ?」
騒ぎを聞きつけたのかフィルチがやってきた。目線がこちらを向いて硬直しているミセス・ノリスを見つける。その途端、ワナワナと体を怒りで震わせ金切り声で叫んだ。
「私の猫だ!ミセス・ノリスに一体なにが起こったというんだ?ポッター、お前だな!お前が私の猫を殺したんだ!」
「ち、違う!僕は何もしていない!」
近くにいたハリーに怒りをぶつけるフィルチ。必死にハリーが否定するが、フィルチは聞く耳を持たない。
「殺してやる...俺がお前を殺してやる」
と唸るように呟きながらじりじりとハリーに迫る。そこに別の声が響く。
「アーガス!」
ダンブルドア先生であった。数人の先生と一緒に現場に到着したダンブルドア先生は壁の文字とミセス・ノリスを見るとすぐさま生徒たちに寮へ戻るように指示をだす。監督生を先頭に、集まっていた生徒達がぞろぞろと廊下を歩いていく。大勢の足音が遠くなった時、ここには数人の先生とハリー,ロン,ハーマイオニー,私だけが残された。
「アーガス、一緒にきなさい。ポッター君,ウィーズリー君,グレンジャーさん,マーレイさん、君たちもおいで」
ダンブルドア先生はそう呼びかけ、腕木からミセス・ノリスをはずして歩き出す。それを見たロックハート先生は前に進み出てこう申し出た。
「校長先生、私の部屋が一番近いです。すぐ上です。どうぞご自由に」
「ありがとう、ギルデロイ」
それに顔をしかめたのは何人だっただろうか。なにはともあれ、明かりの消えたロックハート先生の部屋にみんなで入り、ロックハート先生は机の上の蝋燭に火を灯して後ろに下がった。ダンブルドア先生は机の上にミセス・ノリスを寝かせるとミネルバと一緒に調べ始める。
「猫を殺害したのは呪いに違いありません。多分'異形変身拷問'の呪いでしょう。何度も見た事があります」