第29章 初めてのハロウィーン
クレア達と大広間に入り席につくと、とても豪華な食事が出てきた。
『おいしそうね』
「本当に!」
クレア達も、嬉しそうにしている。
「ユウミ、なにしてるの〜?」
ハリーと約束した通りに、ごちそうをとっていると不思議そうにエイミーに問われた。
『ハリー達が、このパーティーに出られなくて残念がってたからごちそうをとっておくって約束したの』
「そうなんだ〜」
『ちょっと、食べ過ぎちゃったかしら』
「私もだわ」
クレア達と談笑しながらあっという間にペロリと食べてしまい、笑いながらそう告げるとミアも同意してくれた。
『じゃあ、そろそろ行ってくるわね!』
「「「いってらっしゃい」」」
クレア達に見送られて私は、ハリー達のもとへと向かう。
『ハリー、ロン、ハーマイオニー?』
ハリー達を見つけたので声をかける。
「「ユウミ!」」
『なにやってるの?』
ハリーは壁に張り付いていて、ロンとハーマイオニーはそんなハリーに困惑している様子だ。ハリーは私が来たことに気づいていない。
「ハリーが声が聞こえるって...私とロンは聞こえないの」
ハーマイオニーが困惑したまま私の問いに答える。私はバジリスクの声のことだと直感した。
「動いてる・・・殺しに行ったんだ!」
ハリーはそう叫ぶと駆けだす。ロンとハーマイオニーは、当惑した顔で顔を見合わせてからハリーを追いかけた。私も3人を追いかける。
『もう...は、はやい...わ』
3人ともとても早く、これ以上走るのは難しいと思ったため私は早歩きをしていた。ようやく追い付くと、水浸しの廊下に出る。そして...
「みんな、あれを見て!」
ハーマイオニーが叫んだ。ハーマイオニーの指し示す先を目を凝らして見ると、壁には赤黒い文字が書かれていた。
'秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ'
「なんだろう。松明の下にぶら下がっているのは...」
ハリーはそう言いながら近づく。しかしすぐに驚いたような声をあげる。
「ミ、ミセス・ノリスだ!」
それを聞いてロンが焦ったように言った。
「ここを離れよう。ここにいるところを見られない方がいい」
「でもおろしてあげるべきなんじゃないかな」
しかしハリーがそう言って躊躇していると、ガヤガヤと声がして生徒達がこちらに来てしまう。