第29章 初めてのハロウィーン
気がつけば、もう10月に入っていた。ホグワーツでは、先生方にも生徒の間にも急に風邪が流行っていたのだった。私も少し風邪っぽい気がしたがなんとか自然に治すことができた。もちろんルームメイト,特にクレアには医務室に行った方がいいと言われたがなんとか誤魔化し続けた。
それにはもちろん理由があって、マダム・ポンフリー特製の'元気爆発薬'は効果は抜群なのだが、数時間耳から煙を出し続けることになる。それを回避したかったのだ。そして私には心配事があった。それはジニーのことだ。このところずっと具合が悪そうだったのであった。それを心配したパーシーに無理やりこの薬を飲まされて、ジニーは煙を出し続けることになってしまったのだが、あまり元気になったようには見えない。
もしかしてリドルの日記の影響なのかとも思ったが、原因がわかっても何も出来ない自分に腹がたった。それからはクレア,ミア,エイミーと何事もなく平和な日々をすごしていた私だったが、今日はいよいよハロウィーンの日だ。少し前、ハリーに会ったときにこんな会話をした。
「あ、ユウミ!」
『ハリー、どうしたの?』
こちらに慌てて近寄ってきたハリーに首を傾げる。
「僕とロンとハーマイオニーで、ニックに誘われて絶命日パーティーに行くことになったんだけど、ユウミはどう?」
『そうだったのね...クレア達と一緒に出る約束しちゃったのよ、だからごめんなさい』
「ううん、いいんだ!」
ちょっと落ち込んだみたいだが、私を気遣うように言ったハリー。
『どうしたの?なんか元気ないわね?』
「うん...」
ハリーが言うにはニックの誘いを受けたことを後悔しているみたいだ。でもそう思うのも無理はないと思う。絶命日パーティーに、ハリー達が食べられるようなごちそうが出てくるとは思えないからである。どうしようかと考えた後に、私はハリーにあることを提案した。
『ハリー、それなら私がハリー達のぶんのごちそう取っておこうか?そんなに多くは取れないけど...』
「本当?!ありがとう!ロンとハーマイオニーにも伝えておくよ」
ハリーは私の提案にとても喜んでくれて、私も嬉しくなる。
『喜んでもらえて嬉しいわ。パーティーの途中で抜けて持っていくわね』
ハリーは顔を綻ばせて私にもう一度お礼をいうと、去っていった。